東京都豊島区東池袋の複合商業施設「サンシャインシティ」で起きた女性刺殺事件をめぐり、容疑者と同姓同名の別人が“犯人扱い”されるような事態が発生したようだ。
SNS上では、断片的な情報や検索結果を手がかりにして憶測が拡散し、無関係の人が誹謗中傷の対象となる──。こうした“ネット上のえん罪”は、いつまで繰り返されるのか。
●衝撃的な事件と拡散の構図
3月26日午後7時16分ごろ、サンシャインシティ2階の店舗で事件は発生した。男性が女性の首などを刃物で刺し、その後、自分の首付近を切った。2人は搬送先の病院で死亡が確認された。
報道によると、2人は2025年7月ごろまで交際しており、別れた後、男性のストーカー行為が始まり、女性が警視庁に相談していたという。
事件は大きく報じられ、容疑者の氏名も広く共有された。
事件直後、容疑者の名前を検索すると、帝京大学体育局水泳部のブログが上位に表示されていた。その結果、無関係の人物に関する憶測がSNSで一部広がったとみられる。
帝京大学水泳部は3月28日、Xで「同姓同名の別人であり事件とは全くの無関係である事が確認できています」と投稿。「個人を特定したり憶測で情報を拡散する等の行為はお控え頂きますようお願い致します」と注意を呼びかけた。
●「同姓同名」でも名誉毀損は成立しうる
「同姓同名の別人を犯罪加害者であると指摘することは、その人物の社会的評価を低下させることになります。そのため、名誉毀損の問題が生じます」
そう話すのは、インターネット上の誹謗中傷問題に詳しい清水陽平弁護士だ。
「名誉毀損は民事上のものと刑事上のものがあり、それぞれ要件は若干異なりますが『社会的評価を低下させる』ことで成立する点は共通しています。
もし、犯人であるという誤った情報を拡散した場合、真実性は認められず、名誉毀損の成立を妨げる事情は存在しないといえます。結果として、民事上・刑事上のいずれでも責任を問われる可能性があります。
類似の事案として、2017年に東名高速でのあおり運転では、無関係の会社を加害者の勤務先であるかのように書き込んだ投稿について、名誉毀損が認められているものがあります。今回のケースでも、同じように名誉毀損として責任が問われる可能性があります」

