食道がんを発症すると胸に痛みを感じる原因とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「食道がん」を発症すると「胸にどんな痛み」を感じる?痛みを感じる場所も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
「食道がん」とは?
食道は、喉と胃をつなぐ管状の臓器で、長さ約25cmほどです。口から摂取した食べ物を胃へと送り届ける、消化管の一部です。食道がんは、この食道の粘膜から発生する悪性腫瘍を指します。日本人に発生する食道がんの90%以上は「扁平上皮がん」という種類で、アルコールと喫煙が原因として多いです。一方、欧米では胃酸の逆流によって起こる「逆流性食道炎」が長期間続くことで発生する「腺がん」が増加傾向にあります。食道がんの怖い点は、初期段階では自覚症状がほとんどないことです。そのため、症状が現れたときには、すでにがんが進行してしまっているケースも少なくありません。だからこそ、リスクをご存じの方や、少しでも気になる症状がある場合には、早期に検査を受けることが極めて重要になります。
食道がんを発症すると胸に痛みを感じる原因
腫瘍による炎症や潰瘍によるもの
食道がんの初期段階では、腫瘍が食道の内側(粘膜)に潰瘍を形成し、炎症を引き起こします。この状態では食べ物や唾液が潰瘍部分に接触するたびに痛みが生じます。特に熱い飲み物、酸っぱいもの、辛いものなどの刺激物によって痛みが増強されるのが特徴です。 消化器内科での上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が必要です。食事に関連した痛みが2週間以上続く場合は、遅くとも1ヶ月以内に受診してください。早期発見・早期治療のためには迅速な対応が重要です。
周囲組織への浸潤による神経圧迫
がんが進行すると、食道の壁を越えて周囲の組織(気管、大動脈、心膜など)に浸潤し、神経を圧迫・刺激するようになります。この段階では食事とは無関係に持続的な痛みが現れ、特に夜間や安静時にも痛みを感じるようになります。持続的な胸痛は進行がんの可能性が高いため、消化器外科または腫瘍内科での緊急検査が必要です。CT検査やPET検査による病期診断が重要になります。症状を自覚したら48時間以内の受診を強く推奨します。
リンパ節転移による圧迫症状
食道がんはリンパ節への転移を起こしやすく、縦隔(胸の中央部)や頸部のリンパ節が腫大することで周囲の神経や血管を圧迫し、胸痛を引き起こすことがあります。この場合の痛みは広範囲に及ぶことが多く、首や肩にまで放散することも少なくありません。リンパ節転移を伴う場合は高度進行がんであり、集学的治療(手術、化学療法、放射線療法の組み合わせ)が必要になります。がん診療連携拠点病院の消化器外科や腫瘍内科での専門治療が必要です。緊急性が非常に高いため、早急に受診してください。

