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「面倒くさいから養子になりなさい」。料理家・文筆家の麻生要一郎が語る、縁と家族と引き継がれるもの

「面倒くさいから養子になりなさい」。料理家・文筆家の麻生要一郎が語る、縁と家族と引き継がれるもの

高齢の姉妹との出会いがターニングポイントに

母を看取り、水戸の実家で片付けを終えた麻生さんが、もう一度東京で暮らそうと決めたとき、頼ったのは友人のお告げだった。

「お告げをくれる人がいるんですね」と麻生さんはさらりと言う。その友人から、5、6年前に「あなたは千駄ヶ谷にすごく縁があるから、その地名を何かあった時に思い出してね」と言われていた。当時は「なんのこっちゃ」という感覚だったが、母が亡くなって引っ越し先を探すタイミングで思い出し、「どこに引っ越したらいいと思う?」と聞いてみた。

「『千駄ヶ谷』って即答で言われて。妙に腑に落ちてしまって、じゃあ探すわ、って言って検索したんです」

条件も細かく告げられた。「線路に近くて、窓が多くて、古いマンション」。さらにもう一言。「おばあちゃんが見えてる」。

ひとまずその言葉を頭の片隅に置いたまま検索を続けると、条件通りのマンションの2階の部屋が出てきた。入居前に挨拶をしようと5階のドアのチャイムを鳴らすと、おばあちゃんが出てきた。

「『あ! 来た!』と思いましたね。でも、なんか、どこかジブリの世界に出てきそうな、ちょっと今まで見た感じではないおばあちゃまが出てきて」 姉80歳、妹70ちょい。二人ともタバコをプカっと吸う。自分たちで「モテモテだった」と言ってはばからない、東京育ちの不良の姉妹だった。お告げのおばあちゃんは、本当にいた。

寸胴鍋いっぱいの昆布巻きが、縁をつないだ

引っ越して一週間ほど経ったころ、姉妹が「ネコちゃん見せてね」と部屋に来た。チョビを見るなり、お姉さんがこう言った。「あなたもう一人なんでしょ。このネコちゃんだけ家族なんでしょ」。

そこから姉妹との交流が始まった。やがて猫のチョビが5階に「誘拐」され、麻生さんは定期的に5階に通うようになった。そのうちに、姉妹が得意料理を振る舞ってくれるようになった。豚の昆布巻きだった。

昆布巻きといえばニシンや鮭が定番だが、姉妹の家はなぜか豚肉だった。理由はわからない。でも食べると美味しくて、1週間も経つとまた食べたくなった。やがて姉妹が買い物に行けなくなると、麻生さんが代わりに材料を買いに出るようになった。

「グラムで言ってくれないので『何本か買ってきて』とか言われて。何本か買っていくと、『え、なんかこれしか買ってこなかったの?』と言われて(笑)。誰が食べるのか、そんなにと思いながら、また追加で買ってきたりして、それを巻いてましたね。寸胴鍋いっぱいに」

料理を一緒に作り、食べることが、二人との距離を縮めていった。食卓が、家族をつくった。今も年末になると麻生さんは豚の昆布巻きを作る。

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