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異色の「逆流」キャリアで磨いた現場感覚 田浦一弁護士

異色の「逆流」キャリアで磨いた現場感覚 田浦一弁護士

企業内弁護士(インハウスロイヤー)から大手法律事務所、そして独立へ。一般的なキャリアパスとは逆の道を歩んだ田浦一氏(BUSINESS LAWYERS AWARD 2025 次世代選抜、主催:弁護士ドットコム)は、ヤフーでの現場経験とアンダーソン・毛利・友常法律事務所での専門性を掛け合わせ、2025年に新事務所を設立した。変化を恐れず挑戦を続ける「逆流キャリア」の軌跡を聞いた。

●インハウスで学んだ事業理解の重要性

司法修習を終えて弁護士になる人の大半は「法律事務所」に就職する時代、田浦一氏が2012年に最初のキャリアとして選んだのは、ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)での企業内弁護士(インハウスロイヤー)の道だった。

当時としてはまだ少数派の選択だったが、そこには「急成長するIT企業の最前線で、ビジネスが生まれる瞬間に立ち会いたい」という明確な意思があった。自身の直感に従い、事業の現場へと飛び込んだ。

配属された法務の現場は刺激に満ちていた。エンジニアや事業サイドと膝を突き合わせ、新規サービスやプロダクトに存在する法的問題点を議論する日々。「事業部との距離感の掴み方や、密なコミュニケーションを通じて事業を理解する力を鍛えられました」。事業部に対するアクセルとブレーキを使い分けるバランス感覚は、この時期に培われた。

インハウスとして充実した日々を送る中で、次のステップを見据えた転機が訪れる。M&A案件を担当する部署に配属され、その魅力を感じるとともに、協働した外部弁護士の実務能力に刺激を受けた。「M&A案件の進め方やドラフティングのスキルなどが洗練されていると感じました。M&A案件の専門性を高めるには、大手事務所で多くの案件を経験し、質の高いM&A法務を学ぶ必要があると感じました」。ヤフーでの仕事は非常に充実していたが、法律事務所への転職を決意。インハウスロイヤーとしてのキャリアに区切りをつけ、アンダーソン・毛利・友常法律事務所(AMT)へ舞台を移した。

●大手法律事務所・海外留学を経て専門性を確立

法律事務所での勤務経験のないインハウスロイヤーが「4大」と呼ばれる大手法律事務所へ転職するケースは極めて稀。初めての事務所勤務はヤフー時代と変わらず忙しかったが、希望していたM&A案件や英語を使うクロスボーダー案件に没頭し、実務家としての足腰を徹底的に鍛え上げた。米ニューヨーク大学ロースクールにも留学。憧れの街での生活は刺激的だった。

ロースクール修了後の研修先は、米大手法律事務所の「モルガン・ルイス&バッキアス」サンフランシスコオフィス。シリコンバレーのIT法務や米国流のM&A案件に触れることができた。

この時期に、M&Aと並ぶ自身の「柱」を確立した。GDPR(EU一般データ保護規則)が2018年に適用され、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が2020年に施行されるなど、世界的にデータ保護法制の整備が進んでいた時期、日本でもデータプライバシー関連法の改正が進んでいた。「グローバルな視点が必要な領域で、IT企業にいた自身の経歴とも親和性が高い」と判断した田浦氏は、帰国後、M&Aと並行して、データ保護案件にも注力。メタバースやAIなどがデータ保護法制と関連することもあり、先端領域の案件も多く担当した。

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