デートクラブを通じて知り合った女性から「生活が苦しい」と打ち明けられ、数回にわたって金銭を渡してきたという男性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。
男性は、見返りを求めることなく経済的な援助をしてきたといいます。
ところが、その女性のSNSには、高級レストランでの食事やブランド品に囲まれた様子が頻繁に投稿されており、「本当に困っていたのだろうか」「だまされていたのではないか」という疑念を抱くようになったそうです。
弁護士ドットコムには、こうしたケースのほかにも、いわゆる“パパ活”をめぐる金銭トラブルの相談が多数寄せられています。たとえば、「学生だと偽って学費の援助を受けていた場合、詐欺にあたるのか」といった内容です。
パパ活における金銭のやり取りは、どこからが「善意の援助」で、どこからが「詐欺」と評価されるのでしょうか。稲生貴子弁護士に聞きました。
●「詐欺罪」成立のポイントは?
──「生活が苦しい」「お金がない」と訴えられて金銭を渡した場合、その後に相手がぜいたくな生活をしているとわかったとしても、詐欺が成立するハードルはどこにありますか。
詐欺罪(刑法246条)が成立するには、客観的な構成要件として、次のような要素が必要です。
(1)欺く行為(欺罔行為)
(2)被害者の錯誤
(3)被害者による財物の交付行為
(4)財物または財産上の利益の移転
今回のケースでは、(1)欺く行為(欺罔行為)があったか否かが、詐欺罪成立の判断を左右します。
欺く行為(欺罔行為)とは、財物の交付の判断するうえで重要な事項について錯誤を生じさせる行為をいいます。被害者がその点について誤った認識に陥らなければ財産を交付しなかったといえるような、重要な事実を偽る行為です。
「生活が苦しい」「お金がない」といった発言は、内容が曖昧で解釈にも幅があるため、それだけで直ちに重要な事実を偽ったと評価することは容易ではありません。
実際に、収入や資産が一定程度ある場合でも、自由に使えるお金がないという意味でこのような発言をすることもあり、必ずしも虚偽になるとは限らないためです。
ただ、やり取り全体の内容から、生活に困窮している状況を示すものと理解される場合には、財物の交付の判断に重要な影響を与える事実と評価される可能性があります。
そのため、実際には生活に困窮していないにもかかわらず、そのように装って金銭を交付させた場合には、欺く行為(欺罔行為)が認められ、詐欺罪が成立する可能性が高いといえます。
●「学生」と偽って学費の支援を受けていたら?
──「学生だと偽って学費の支援を受けていた」など、属性を偽る行為は、詐欺と評価されやすくなるのでしょうか。
そうですね。
学生でないにもかかわらず「学生で学費が必要」と説明していた場合や、病気でもないのに治療費を理由に金銭を求めていた場合など、属性について虚偽の説明をした場合では、重要な事実を偽ったかどうか明確になりやすくなります。
そのため、単に「生活が苦しい」「お金がない」といった発言にとどまる場合に比べて、詐欺罪が成立する可能性は高くなります。

