娘の純真な一言に、元いじめっ子の彼女は……
「あら可愛いわね! こんにちは♪」
「こんにちは」
笑顔で話しかけてきたB美に、娘は挨拶を返すと、私を見上げました。
「ママのお友達?」
すると、即座にB美が答えました。
「そうよ。中学生のとき同じクラスだったの」
「そうなんだ! だったらおばちゃんも、優しい人なんだね♪」
娘は、嬉しそうに笑います。
「だってママは、とっても優しいもん。私もママみたいに、お友達に親切にできるよ! 学校では、みんな仲良く助け合うんだよね」
その瞬間、B美の顔が、明らかにひきつったのがわかりました。
「そ、そうね……」
――やっぱり、B美は覚えているんだ。
そう確信しながら、私は娘に言いました。
「そうよ。あなたもお友達には思いやりをもちましょうね」
B美は、複雑な表情を浮かべています。
謝罪なんて聞きたくない
「じゃあ、私たちはそろそろ」
そう言ってその場を離れようとすると、B美が呼び止めてきました。
「待って! その……あのときは――」
私は、そんな彼女の言葉を遮ります。
「あなたは母として、胸を張って子どもに正しいことを教えられる?」
B美は黙り込みました。
「もし、自分の子どもが同じことをしたら? あるいは、されたら? あなたはどうする?」
それだけ言って、私は彼女に背を向けました。

