●試用期間中だと本採用を拒否される可能性がある
このように、懲戒解雇が認められる場合、というのはかなり限定的です。
しかし、新入社員の場合、試用期間中であることも多く、この場合は話が変わってきます。
懲戒解雇ではなく、本採用を拒否するという形で企業にいられなくなる可能性があるからです。
最高裁昭和48年(1973年)12月12日判決(三菱樹脂事件)は、試用期間中の法律関係を「解約権留保付労働契約」と解しています。
簡単にいえば、試用期間中の労働者が、その会社で働くにふさわしくない場合に、「契約を解約することができる権利」が残っている労働契約、ということです。
この留保した「解約権の行使」については、本採用後の解雇よりも広い範囲で認められると考えられています。
この解約権についても、企業側が自由に行使できるわけではないと考えられています。
留保解約権を行使できるのは、採用当初は知ることができなかった事実を採用後に知るに至り、引き続き雇用するのが適切でないと判断することが客観的に相当である場合です。
まず、本件のように、機密情報をSNSに投稿するという対象者の行動の特性は、採用時の面接では当然知ることができません。入社後に初めて起こった事実ですから、「採用当初は知ることができなかった事実」という要件は満たされます。
次に、引き続き雇用するのが適切でないかどうか、についてはどうでしょうか。
SNS投稿で漏洩した情報が、会社にとって機密性が特に求められるものである場合、「悪気がなかった」としても、そもそもそのように安易に情報を漏洩してしまうという事実が、雇用を継続するのに適切でない人材であるという判断につながるおそれがあります。
なお、SNSが大炎上することで、会社の信用毀損が現実に生じている場合、そのような事情も採用拒否が正当化される事情になりえます。
就業規則に情報管理に関する懲戒事由が整備されており、入社時に情報管理の重要性について教育や誓約書の取得が行われていたかどうかも、判断に影響します。
新入社員の皆さんは、特に希望する企業に入社できた場合、高揚感や、自分だけが知っている社内の世界を自慢したいような気持ちもあるでしょうが、SNS投稿はくれぐれも慎重に。外部から知ることのできない社内情報が映ってしまうような投稿はすべてNGだと考えておきましょう。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

