子どもが生まれて変わった距離
それが変わり始めたのは、お互いに子どもが生まれてからだった。
最初に出産したのは香織だった。
蓮くんが生まれたとき、私はとても嬉しかった。
「かわいい……」
まだ小さな赤ちゃんを抱っこさせてもらいながら、思わず笑顔になる。
でも、その頃から、少しだけ違和感を覚えることがあった。
例えば、蓮くんが物を投げても
「男の子だもんね」
香織は笑って済ませる。大きな声で騒いでも
「元気な証拠だよ」
そう言って気にしない。
最初は、それほど気にならなかった。
子育てのやり方なんて、人それぞれだと思っていたから。
でも、私に蒼が生まれてからその違和感は、少しずつ大きくなっていった。
「神経質すぎない?」
蒼に注意する私を見て、香織が言ったことがある。
「子どもなんだから、多少やんちゃでもいいじゃん」
そして、どこか距離を置くような態度を見せることも増えていった。
(どうして……?)
昔は、あんなに自然に話せていたのに──
私はふと顔を上げた。リビングでは、蒼がミニカーを並べて遊んでいる。
そして、今日の出来事を思い出す。
蒼を突き飛ばした蓮くん。それを軽く流した香織。
胸の奥で、小さな疑問が膨らんでいく。
──もしかして、私たちの間にある違和感は、もうずっと前から始まっていたのかもしれない。
あとがき:関係は「変わるもの」
どれだけ良好だった関係でも、環境や立場の変化によって少しずつ形を変えていくことがあります。
結衣と香織も、かつては心地よい距離でつながっていた関係でした。しかし、子どもを持ったことで価値観の違いが浮き彫りになり、そのズレは徐々に大きくなっていきます。
「変わってしまった」のではなく、「見えていなかったものが見えてきた」のかもしれません。
この違和感が、今後どのような形でふたりの関係に影響していくのか──引き続き見守っていただければと思います。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

