院長とお局の陰口を聞いてしまった、美奈。その場で、退職届を叩きつける…。身も心もかるくなった美奈は、転職に向けてあらたな一歩を踏み出した。
退職後…先輩からの連絡におどろく
「来週から、すぐにでもはたらけます」
クリニックを出た後、私はすぐに内定をいただいた転職先に連絡を入れた。
「それは助かるわ。では、一度、契約のために、お話させてもらえるかしら」
「はい、もちろんです」
あらたな一歩を踏み出す。
この一年、なやみつづけていたのがウソのように、心はおだやかになった。
その後、仲良くしていたパートの先輩からメッセージがあり、おどろくべき詳細を聞いた。
「半数以上が、あれから辞めていったの。私も子どもの卒業後って思ってたけど…前倒しに辞めるつもり」
どうやら、私と同様の不満を抱いていた他の職員が、続々と辞めているらしい。
職員ばなれは以前からもあったが、私の「即日退職」が最後の一押しとなって、雪崩のごとく崩壊がはじまったようだ。
クリニックの崩壊が始まる
「クリニックは、だいじょうぶなんですか?」
「休業日も増えて、正直やばいかも。口コミもわるい評価ばかりだしね」
彼女の言葉どおり、世間からの評価も低かった。
「診察が雑」「上から目線」という院長に対するものから、「オバサンが威圧的でこわい」「目の前で新人をどなっていてかわいそうだった」といった、山内さんのことを指しているな…という内容が目立つ。
また、「受付の人が診察室にいた」「役割分担どうなってるの?」など、私が不安に思っていた部分も指摘されている。
やはり…私の違和感はまちがっていなかった。
(辞めてよかった)
クリニックの口コミを閉じると、大きく伸びをした。もうこの場所と関わることは、二度とないだろう。

