脳トレ四択クイズ | Merkystyle
母に育てられた妹、父についた私→年月が経って感じる【劣等感と嫉妬心】|姉の子育てがおかしい

母に育てられた妹、父についた私→年月が経って感じる【劣等感と嫉妬心】|姉の子育てがおかしい

比較される母としての自分

孤独

でも、結衣に蒼が生まれてから、何かが変わり始めた。
親戚の集まりでも、よく言われる。

「蒼くん、いい子だね」

「ちゃんと挨拶できるのね」

「結衣ちゃんの育て方がいいのね」

そんな言葉を聞くたび、胸の奥がざわついた。

ある年の正月。
親戚が集まる席でのことだった。

「蓮くん、これ」

叔母がお年玉を差し出す。
すると蓮は──

「ちょうだい!」

そう言って、袋を乱暴に引っ張った。

「あっ」

叔母が少し驚く。

「蓮」

私は軽く注意した。

「ちゃんと“ありがとう”って言いなさい」

でも蓮は気にしていない。袋を振って笑っている。
そのときだった。

「蓮くん」

結衣がやさしく言った。

「お年玉はね」

しゃがんで目線を合わせる。

「ありがとうって言ってからもらうと、もっと嬉しいと思うよ」

穏やかな声だった。責めているわけでもない。
でも親戚たちは、その様子を見て言った。

「結衣ちゃん、しっかりしてるわね」

「いいお母さんだね」

私は黙っていた。
その横で、蒼が叔母に向かって言った。

「ありがとう」

小さく頭を下げる。
それを見た親戚たちは、感心したように言う。

「偉いねえ」

「ちゃんと挨拶できるんだ」

「結衣ちゃん、育て方が上手ね」

その空気を、私ははっきり感じていた。

(まただ)

胸の奥がざわつく。
誰も私を責めているわけじゃない。
でもまるで、比べられているみたいだった。

(なんなの)

私は心の中でつぶやく。

(そんなに立派なの?)

蒼はいい子。結衣はいい母親。
そんな空気。

それじゃあ──
私は?
蓮は?
胸の奥に、黒い感情が広がっていく。

結衣は何も悪くない。分かっている。
でも──
親戚の視線も、空気も、言葉も。
全部が、私を追い詰めてくる気がした。

私はふと、結衣の方を見る。穏やかな顔で蒼を見ている。
その姿がなぜか、ひどく眩しく見えた。
そして同時に、胸の奥で、はっきりとした感情が形になる。
──悔しい。
──なんで、あの子ばっかり。
その瞬間、私は初めて妹に対して、はっきりとした嫉妬を抱いていた。

あとがき:見えなかった姉の本音

姉・香織の視点から描かれた第3話では、これまで見えなかった“感情の背景”が明らかになりました。何気ない親戚の言葉や子どもの振る舞いが、知らず知らずのうちに人を追い詰めてしまうことがあります。誰かと比べられる苦しさ、認められないもどかしさ──それは決して特別な感情ではありません。次回は再び結衣視点へ。すれ違いが深まっていく姉妹の関係に、どのような変化が訪れるのか、ぜひ続けてごらんください。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

記事作成: tenkyu_writing

(配信元: ママリ

配信元: ママリ

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