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フェルメールは借金王?美しい青の絵具を代償に没落した巨匠

ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》, Public domain, via Wikimedia Commons.

借金の原因は、青の絵具があまりにも高価だったから、とする説があります。世界中のファンに愛好される「フェルメール・ブルー」は、自身や家族の生活を犠牲に成り立っていたのかも…?

さらに、フェルメールには子どもが11人いたとされています。大家族がいるのに、高価な絵具を買って生活は大丈夫だったのでしょうか? おそらく大丈夫ではないのですが、絵画を読み解いていくと、巨匠フェルメールの意外な姿が見えてきます。

金より高価!宝石「ラピスラズリ」を砕いた青の絵具

「色によって絵具の値段が違う」ことも、現代人にとっては不思議かもしれません。フェルメールの時代は画家が絵具を原料から調合しており、正確に言うと、異なっていたのは原料の価格です。

ラピスラズリ James Petts from London, England • CC BY-SA 2.0ラピスラズリ James Petts from London, England • CC BY-SA 2.0, Public domain, via Wikimedia Commons.

なかでも青は、自然のもので再現するのが難しい色。その原料のひとつとなったのが、「ラピスラズリ」という鉱石です。アフガニスタンから海を越えて運ばれた鉱石で、17世紀当時は金より高価な宝石でした。

これを砕いて作った「ウルトラマリン」と呼ばれる絵具ももちろん高価。聖母マリアの衣服など、特別な箇所に使うとっておきの絵具です。

イル・サッソフェッラート《祈る聖母》イル・サッソフェッラート《祈る聖母》, Public domain, via Wikimedia Commons.

ところがフェルメールは、ウルトラマリンを惜しみなく使用。《真珠の耳飾りの少女》のターバンなど、神でも聖人でもない一般人の衣装や小物に、宝石でできた絵具を塗りまくりました。

ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》(部分)ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》(部分), Public domain, via Wikimedia Commons.

同時代、フェルメールほど贅沢にウルトラマリンを使った画家は皆無と言って良いでしょう。似たような青色の原料となる天然鉱石アズライトが供給不足となり、ラピスラズリがさらに高騰した時代のことでした。

「青以外の部分」にも青を塗りまくるフェルメール

《真珠の耳飾りの少女》のターバンなど、青色の部分だけに使ったならまだ許せる(?)のですが…フェルメールはなんと、「青でない部分」にも高級絵具ウルトラマリンを塗りました。

ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》(部分)ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》(部分), Public domain, via Wikimedia Commons.

たとえば、少女の黄色い上着に落ちる影。ここにも、ウルトラマリンが混ぜられています。影に青みを加えることで、冷たく静かな印象になるよう狙ったようです。

また、黄色の補色が青であることから、黄色を引き立てる効果もある様子。よく観察すると、肉眼でも影のなかに青い粒子を見つけられる、と言う人もいます。

ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》, Public domain, via Wikimedia Commons.

ほかの作品でも、フェルメールは壁やタペストリー、家具などあちこちにウルトラマリンを多用しました。さらに、上から別の絵具を重ね塗りする前提で、下地に塗りまくった《デルフトの眺望》などの作例もあります。つまり、ウルトラマリンをまるで「捨て色」のように贅沢に使っていた、と。

ヨハネス・フェルメール《デルフトの眺望》ヨハネス・フェルメール《デルフトの眺望》, Public domain, via Wikimedia Commons.

こんな風に、静けさや透明感を高めるため、フェルメールは青色以外の部分にもウルトラマリンを使用しました。「宝石を散りばめたような美しさ」という比喩がありますが、フェルメールの絵画には文字通り宝石が散りばめられているのです。

配信元: イロハニアート

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