名古屋市内のポーカー店「じゃんけんポーカー」で店長だった男性(当時25歳)が亡くなったのは、長時間労働や上司による暴行が原因だったとして、両親が運営会社と上司である代表者を相手取り、約1億600万円の損害賠償を求めた訴訟。
名古屋地方裁判所(松田敦子裁判長)は3月18日、自死との因果関係を認め、計約1億160万円の支払いを命じた。
男性の母親は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「(判決で)正義が認められ、本当に感謝しかありません」とコメントした。
一方、裁判所によれば被告側は控訴している。
●安全配慮義務違反や不法行為を主張していた
訴えを起こしたのは、2020年11月16日に自死した井上遥樹さんの両親。
長時間労働や代表による暴行などにより、井上さんが適応障害を発症し、自死に至ったと主張。安全配慮義務違反や不法行為に基づき、遺失利益や慰謝料などの損害賠償を求めていた。
●長時間労働と暴行による心理的負荷を「強」と評価
判決は、井上さんが亡くなる1カ月前の2020年10月ころに適応障害を発症したと認定した。
当時1カ月の時間外労働は約73時間に及び、16日間の連続勤務も認められた。これについて裁判所は、心理的負荷を「中」と評価した。
また、同年10月18日、店舗内で代表が井上さんに対し、右足で大腿部付近を蹴り、右手のひらで顔面を叩くなどの暴行を加えた事実が、防犯カメラの映像から認定された。
代表はこの暴行について暴行罪で罰金10万円の略式命令を受けているが、今回の判決では、暴行は計7回以上に及び、その後も約10分間にわたり説教が続き、井上さんが泣き続けていた様子もあったと認められた。
裁判所は、会社代表という直属の上司によるこれらの行為について、心理的負荷は「中」を上回る強度であると判断した。
そのうえで、長時間労働と暴行による負荷を総合して「強」に該当すると結論付けた。井上さんの適応障害の発症および自死には業務起因性が認められるとして、被告側の安全配慮義務違反と不法行為責任を認めた。

