不倫と借金を繰り返す夫・平治と離婚した夏乃。親友の祥子は心から祝福するが、夏乃の表情は暗い。離婚したはずなのに、平治からの執着に満ちた連絡は止まらず、彼女は終わりの見えない恐怖に怯えていた。
親友からのSOS
「ねえ祥子、私、もう限界かもしれない」
目の前で力なく笑う親友、夏乃の指先は、カフェラテのカップをなぞりながら小刻みに震えていた。
私、祥子(31)と夏乃は、学生時代からの腐れ縁。彼女は優しくて情に厚いけれど、その「優しさ」が時に自分を追い詰めてしまうことがある。
彼女の夫――いや、今は「元夫」の平治(33)。彼が付き合っていたころに部下に手を出して会社をクビになった時、私は必死に止めた。「そんな男、やめときなよ」って。
でも、平治は土下座して泣いて反省して、夏乃はその涙を信じて入籍した。それが地獄の始まりだったなんて。
親友に訪れる平穏に期待をしていた
「また、女の人?」
私の問いに、夏乃はスマホの画面を無言で見せてきた。そこには平治が複数の女性に送った、寒気のするようなLINEの羅列。
『今夜会えない?』『一度だけでいいから、キスさせて』 一方的で、しつこくて、自分勝手な欲望。
「……信じてたのに。でも今度はもう無理。ごねられて大変だったけど、なんとか離婚届を出してきたよ」
「よかった。本当によかったよ、夏乃」
私は彼女の手を握った。これでようやく、彼女に平穏が訪れる。そう信じて疑わなかった。

