見え始めた本性
次の日。
私は思い切って藤川さんに連絡をした。
《昨日の図面の件なんだけど》
すぐに既読がつく。
《うんうん!》
藤川さんから明るい返信が来た。
《恒一に聞いてみたんだけど、図面だけだと分からないことも多いみたいで》
私は慎重に言葉を選びながら打つ。
《業者さんと直接相談した方がいいと思うって言ってた》
少しだけ、間が空いた。
そして。
《えー》
短い返信。
私は続けて送る。
《責任も持てないから、軽くアドバイスするのも難しいみたいで》
《ごめんね》
画面を見つめながら、心臓が少しドキドキする。
しばらくして、藤川さんから返信が来た。
《そっか》
《忙しいもんね》
文字だけ見ると、普通の返事だった。
でも、いつもついているスタンプや絵文字は一切ない。
明らかに怒らせたと感じた。
思えば、今までも藤川さんは
「〇〇ちゃんのパパが車の整備士だから愛車のチェックをしてもらった」とか
「〇〇くんのパパがパティシエだからレシピ送ってもらっちゃった」とか
よその家の家族のスキルを当たり前のようにタダで使わせてもらったような言動をしていた。
今回も当たり前に「タダで」うちの夫のスキルを借りられると思ったのかもしれない。
そしてこのときは、この図々しいお願いを断ったあとにどうなるか、まだ予想できていませんでした。
あとがき:「断ること」で見える本音
勇気を出して断ることは、ときに相手の本音を浮き彫りにします。真帆は誠実に理由を伝えましたが、それでも藤川の中には納得できない思いが残っていました。表面上は穏やかでも、心の中では違う感情が動いている──それは人間関係の難しさでもあります。小さな違和感は、やがて確かなズレへと変わり始めました。この後、2人の関係はどのように変化していくのでしょうか。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

