美緒ちゃんが、数人の友だちと「シール帳」を見せ合って遊んでいた時のことです。
その中に、PTA役員を務める真理子さんと、その娘さんもいました。
真理子さんの娘さんが持っていたのは、なかなか手に入らない、貴重な「限定シール」。美緒ちゃんは、それを一目見るなり、目が血走っていました。
「ねえ、それ交換して!」
真理子さんの娘さんが、
「これは大事だからダメ」
と断ると、美緒ちゃんはあからさまにフキゲンになりました。
そして、みんなが目をはなしたスキに、その貴重なシールをはがし、自分のシール帳にこっそり貼り替えてしまったのです。
「あれ! わたしのシールがない!」
泣き出した娘さんの声に、真理子さんがかけつけました。
美緒ちゃんは「知らない」と突き放しましたが、真理子さんは見逃しませんでした。
美緒ちゃんのシール帳の、あきらかに不自然な位置に貼られた、娘のシールを…。
「美緒ちゃん、これはどういうこと?」
真理子さんはPTA役員であり、以前から「シールへの執着がはげしく、周囲に強制する子がいる」という問題を、本部で議題に上げていました。
美緒ちゃんの名前は、要注意人物として、すでにマークされていたのです。
マーク済だった、問題児
美緒ちゃんはシール交換に夢中の様子。ですが、いくら欲しくても、友だちのシールを勝手に盗ってはいけません。
真理子さんは、このことを見逃しませんでした。
問題児の母親登場
真理子さんは、その場で、美緒ちゃんの母親を呼び出しました。
かけつけた美緒ちゃんママは、
「美緒がそんなことするはずない! 誰かにムリやり貼られたのよ!」
と叫びましたが、真理子さんは凛とした声でさえぎりました。
「お母さん、いい加減にしてください。美緒ちゃんが周囲にシール交換を強制したり、今回のように、他人の物をだまって取る行為は、以前から、役員会でも問題視されていたんですよ」
「役員会」という言葉に、美緒ちゃんママの顔色が変わりました。
「ユリちゃんママのことも…美緒ちゃんの言い分だけを信じて、事実無根のウワサを流したそうですね?」
美緒ちゃんママは、またしても娘のことを妄信し、大騒ぎ。ですが、真理子さんは凛とした態度と言葉で、美緒ちゃんママを制止したのです。「役員会」という言葉の重さが、突き刺さったようです。

