村上春樹作品の「食」がまずそうなのは意図的?
吉行:性とも通じますけど、「ご飯」。私聞きたいんですけど、美味しそうだと感じますか?村上春樹作品の「ご飯」の描写。
スタッフA:食べ物の味っていうよりも、食べ物の文字を消化していくみたいなイメージがありますかね。
スタッフB:サンドイッチとビールなんて考えたこともなかったです(笑)
吉行:私は全く美味しそうに感じなくて。でもそれって村上春樹が「我々は性交した」っていうのと一緒のことをやってるのかなって。というのも、変態文学って結構「食」と繋がってる部分が多くて、宇能鴻一郎っていう北海道出身の作家がいるんですけど、なんか妙にエロチックな食レポ文学とか書いてた人が、途中で三島由紀夫の死をきっかけに官能小説作家に転向するんです。だから食とエロみたいなものって結構密接だと思ってて。でも村上春樹作品を読んで、エロもエロくないし食も美味しくなさそうで(笑)だったら描かなきゃいいところをやたら描くっていうのはやっぱ意図があってやってるんだろうなって。鼠の別荘でも料理をしまくるわけじゃないですか。とにかくエロにしても食にしても女の人にしても、まあ友達にしてもそうですけど、消費をし続けているような感じですよね。誰だって消費されたくはない中で、とにかく消費されずに消費し続けるキャラクターだからかっこいいとかいう風になっていくのかなとは思いましたね。
スタッフA:普通に生きてる人間はやっぱりどこかで消費されるっていうところがあるんですかね。
吉行:はい。絶対に消費されていく部分はあると思いますので、徹底的に消費する側のキャラクターってやっぱりかっこいいんじゃないでしょうか。
吉行:今回だと先生なるものに突き動かされていくわけですけど、それもなんかこう、のらりくらりとかわしながら最後も特に何か大変なことが起きるわけでもなく…
スタッフA:でも主人公は最後泣くは泣くじゃないですか。2時間泣いたみたいな。あれはどうなんですか?
吉行:そこも2時間って付けることによって、俺、たいして効いてないよ、みたいな。効いてないよアピール(笑)2時間って短くないですか?全てを失う喪失の物語なのに「2時間泣いた。俺は初めてね」みたいな(笑)最後までかっこつけるな、愛くるしいなと思って(笑)
村上春樹の「変態度」を聞いてみた

スタッフA:村上春樹の変態度を0から10までで言うと?
吉行:えっと、0あるいは10だと思うんですよ。中途半端ではない。ただもしかしたら全ての私の疑いが嘘で、本当に性的欲望とかがなくて拒絶してるパターンもありえなくはないと思うんですよ。そしたら0。でもあるんだとしたらこの隠し方は10だろみたいな。むっつりすぎんだろみたいな(笑)
スタッフA:それでは今回は吉行さんにとっても新たな出会いになった?
吉行:あ~すごくなりました。私は結構読まず嫌いが多い人間なんですけど、本当に読まず嫌いは良くないなと思いましたね。
※あくまで個人の感想ですので村上春樹作品の変態性の有無についてはご自身で熟読の上、ご判断をお願いします。
※HTB公式YouTubeでは吉行さんと美深町を巡った「聖地巡礼編」の動画も公開しておりますのでよろしければご視聴ください。

