私たちが出会ったのは、まだインターネットで知り合うことが珍しかったころです。当時は、周囲から「ネットでの出会いなんて危ない」と言われる時代でした。
夢だったチャットデビュー
私たちは、今年で結婚して17年、出会いからは25年になります。そんな私たちの出会いから結婚までの話です。
当時25歳だった私は、彼氏に振られてようやく立ち直ったころ、ずっと憧れていたパソコンを購入しました。インターネット回線を引き、チャットルームに入った私は、「もち」というハンドルネームを名乗り、タイピングもおぼつかないままチャットにのめり込んでいきました。
そこで知り合ったのが、「ウルフ」というハンドルネームの人です。彼は大学生とのことで、専門学校を卒業して社会人になっていた私にとっては、少し縁のない世界にいる人のように感じられました。そのチャットルームには15人ほどが参加していて、当初、彼もその中の1人にすぎませんでした。
しかし、タイピングが速いこと、チャットのルールを教えてくれること、ナンパ目的の人や迷惑な発言をする人からさりげなく守ってくれること。彼のそういった行動から、私は顔も本当の名前も知らない「ウルフ」に少しずつ惹かれていったのです。
周囲の反応と自分の思い
やがて電話番号を交換し、電話をするようになりました。そしてついに、彼に会いに行くことに。友人に話すと、「ネットで知り合った人に会うなんて危ないよ!」と猛反対されました。上司からも、「もし休み明けに出勤しなかったら、捜索願を出すからな」と本気で心配されたほどです。
25年前は、まだパソコンを持っている人自体が今ほど多くありませんでした。インターネットで知り合った相手に会いに行くことは、当時、かなり珍しいことだったのです。それでも、電話で話すうちに、彼のことがますます大切な存在になっていきました。不思議なくらい私に不安はなく、会いたい気持ちは止められませんでした。
そして当日、私は新幹線で数時間かけて彼に会いに行き、その後、自然な流れで付き合うことになりました。ただ、遠距離恋愛は想像以上にお金がかかります。電話代が1カ月で6万円になったこともあり、「いっそ近くに住んだほうがいいのでは」と思うようになりました。
そこで私は仕事を辞め、彼の住む地域へ引っ越したのです。ところがその後、実家で祖父に不幸があり、母も体調を崩してしまったため、私は実家に戻ることに。
そのころには時代も少しずつ変わり、インターネット環境も以前より使いやすくなっていました。実家に戻ってからは、音声チャットやオンラインゲームを通じて、彼と一緒に過ごすようになりました。

