〈クリーム系アイスが年間通じて好調〉
食シーンも変わってきている。近年はクリーム系アイスが年間通じて販売好調で、食シーンはこれまでの「涼をとる」ものから、「おいしさや甘みを楽しむ」「ちょっと幸せな気分になる」(日本アイスクリーム協会のアイスクリーム白書2025、アイスクリームを食べる理由の1位と2位)ためのものへ変化し、冷房の効いた部屋で食べることが増えたことで、25年度はさらにこの傾向が強まった。
原料高への対応についても変化が見られた。これまではコストアップを各社が全商品一律値上げでカバーするのが主流だったが、25年度はチョコなど各原料の高騰幅、含有量によって商品単位で、時期も季節の棚替えのタイミングでなく、その都度バラバラに値上げする動きが、以前より目立った。競争環境によるところも大いにあるが、26年度も個々の商品の原料事情などに応じて、値上げや容量変更が行われると見られる。
〈「アイスクリーム市場は6500億円がそろそろ天井」との声も〉
市場成長が今後も続くかどうかについて、これまではメーカー担当者は「成長」一択だったが、見方が分かれるという変化も25年度末は出てきた。
あるメーカー担当者によると、この先の市場は「夏場の伸びに関してはもうあまり期待できない。6500億円市場がそろそろ天井だろう」という。
一方、他のメーカー担当者は「この先も猛暑はずっと続くので、夏場にしっかり売りきることができれば伸長する」という。各社の主要商品が氷系かクリーム系か、またはブランド力の強弱の違いにもよるが、見方が分かれるということは、これまでの右肩上がりの成長から潮目が変わってきたと言えるだろう。
ロングセラーブランドが強すぎて新ブランドがなかなか市場定着しない中で、25年度は新ブランドが登場する新たな動きもあった。アイス最大手のロッテは10年ぶり、森永乳業は8年ぶりの新ブランドを発売し、それぞれメディア向け発表会も行われた。
アジアに恋して 黒糖烏龍ミルクティー
「Variche(バリッチェ)チョコ&バニラ」
既存ブランドの水平展開、垂直展開のこれまでの延長線上だけではない取り組みで、新しい購買層、特に若年層を取り込んでいく強い思いが、新ブランドには込められている。
原材料、包材、輸送などにかかるコスト高、気候変動、消費構造の変化などが大きく進む中で、何にどう対策を打っていくのか、変わる環境への適応力が問われる1年となりそうだ。
【画像18点】クーリッシュ、ハーゲンダッツ、ピノ、ジャイアントコーン、ホームランバーなど、各社のアイス商品の画像を見る 新ブランドの「アジアに恋して」や「バリッチェ」も登場

