平治は実家へ強制送還され、夏乃はついに平穏を取り戻した。過去の涙を拭い、誰にも邪魔されない自由を手に入れた彼女は、祥子と共に新しい人生を祝う。理不尽な支配を脱し、彼女の新しい物語が今、静かに始まる。
無事に訪れた親友の平穏
一か月後。 夏乃名義のアパートは無事に引き払われ、平治は渋々、遠方の実家へと戻っていった。スマホも解約され、新しい番号は当然教えていない。
「祥子、本当にありがとう」
夏乃の顔には、久しぶりに柔らかい笑みが戻っていた。目の下のクマも消え、顔色もいい。
「阿部先生がね、もしこれ以上ストーカー行為を続けたり、待ち伏せをしたりしたら、即座に警察に通報して接近禁止命令を出すって厳しく言ってくれたの。彼、最後は泣きながら『もうしないから許してくれ』って言ってたみたい」
平治という男は、最後まで「反省」ではなく「保身」のために泣く人だった。でも、それでいい。彼が何を思おうと、夏乃の生活から彼が消えたという事実が重要なのだ。
人生の自由を取り戻した親友
「佐藤くんとのドライブ、今度こそ行けそう?」
私が茶化すと、夏乃は少し照れたように笑った。
「うん。実は明日、改めて誘ってもらったんだ。今度は誰に監視されることもなく、純粋に楽しんでくるね」
彼女が手に入れたのは、単なる「独身の自由」ではない。自分の人生を、自分の足で歩くという当たり前の権利だ。 平治からの連絡は、もう二度とないだろう。

