里奈はSNSに義彦とのツーショットを載せ「男友達」と呼び捨てる。さらに、割引を受けながら礼儀を欠く里奈の態度に幸恵は激怒。しかし義彦は「被害妄想」と一蹴し、里奈の健気さを信じ込んで妻を突き放す。
私の夫はママ友の「男友達」?
数日後、里奈さんのSNSを見て私は愕然としました。そこには、義彦の職場の前で、作業着姿の義彦と並んでピースサインをする里奈さんの写真がアップされていたのです。
『今日も幸恵ちゃんのご主人にワガママ聞いてもらっちゃった! 特別に格安でオイル交換完了。持つべきものは、頼れる“男友達”だね♡』
指が震えました。「男友達」? 夫はあなたの友達ではなく、私の夫であり、あなたの担当スタッフのはず。しかも、母から厳しく教わってきた私にとって、信じられないことがもう一つありました。
「ねえ、義彦。里奈さん、今日もお店に来たんだよね? 何か手土産とか……お礼の品、預かってない?」
私の問いに、義彦は着替えていた手を止めて不思議そうに振り返りました。
ママ友が態度を使い分けている…
「え? いや、特には。工賃を割引してるんだから、彼女にそんな余裕ないだろ。別にいいよ、そんなの気にしなくて」
「良くないよ! 安くしてもらったなら、せめて缶コーヒー一本でも差し入れるのがマナーじゃない? 彼女、私の前では『よくしてもらってる』って自慢するのに、やって当然だと思ってるの?」
私の声が少し大きくなります。義彦は「またその話かよ」と言いたげにため息をつきました。
「幸恵、いちいち細かいんだよ。彼女は他のお客さんも紹介してくれるって言ってるんだ。ビジネスチャンスなんだよ。感情的になるなよ」
「感情的にもなるよ! 彼女、私のことが嫌いだから、わざと私をイラつかせるためにあなたを利用してるのよ。それがわからないの?」
「被害妄想だって。彼女、そんなに悪い子じゃないよ。いつも『幸恵ちゃんには感謝してる』って言ってるし」
義彦のその言葉に、目の前が真っ暗になりました。 里奈さんは夫の前では「健気で感謝を忘れないシングルマザー」を演じている。そして私の前では「あなたの夫を自由に操れる女」として振る舞っている。

