「監視の鬼」と呼ばれる自治会長妻・康代の目から逃れるため、優香はムリをしつつも、自治会の行事に参加できるようがんばっていた。そんな時、ある女性と出会う…。彼女もまた"シングルマザー"で…。
子連れで清掃活動に参加
3回目の町内清掃の日を迎えた。
さすがに、毎回シッターにあずけているとお金がかかるので、今回はハルナをつれて参加することにした。
「いい子にしていてね」と、口酸っぱく言い聞かせたのには、わけがある。康代さんの目がこわいからだ。
一回目は欠席した件を、2回目は前回の謝罪について叱られた。
今回は、「子連れ参加」を指摘されないかとひやひやしていたが、特に大きくはおこられなかった。ただ、ちくちくとイヤ味を言われる。
「シングルだから、しかたなくゆるしてあげるわ。清掃のじゃまにならないよう、しっかり見張っておいてちょうだい!」
ハルナはおとなしい性格で、私の近くで、自分なりの草刈りをたのしんでいる。ほっと胸をなでおろした。
「トラブル聞いたわ」ある女性との出会い
たかが町内清掃に、神経をすりへらすなんておかしな話だと思う。
でも、妙に迫力のある康代さんに、みんなは逆らえない…。腰巾着のような人たちもいて、なかなか厄介だった。
黙々と作業を進めていると、一人の中年女性から声をかけられた。
「優香さんよね。大変な中、おつかれさま」
「あ、はい」
物腰やわらかな女性は、「山本さなえです」と名乗り、ハルナにもあいさつをしてくれた。やさしそうな人だ。
彼女は、「近所の一軒家で、一人暮らしをしている」と教えてくれた。
「あなたも厄介な所に引っ越してきちゃったわねえ。康代さんとのトラブル、聞いたわ」
「おはずかしい話です」
「私もシングルだからわかる。女手一つの中、近所の行事参加までするのは大変でしょう」
思わずハッとして顔をあげた。初めて、「味方」とも言える人物があらわれたとわかったからだ。

