結婚1年、アプリ婚の成功例を自負していたりかこ。ある夜、退会し忘れていたアプリを軽い気持ちで開くと、そこには「ログイン:2時間前」という夫・亮平の形跡が。残業と嘘をつく彼の裏の顔に、吐き気が走る。
アプリで出会った私たち夫婦
「ねえ静香、私って幸せだよね?」
カフェのテラス席で、私は親友の静香に問いかけた。
「何よ藪から棒に。亮平さんと結婚して1年、喧嘩もしてないんでしょ? 羨ましい限りよ」
静香は呆れたように笑いながら、アイスラテを啜った。
私、りかこ(29歳)。夫の亮平(30歳)とは、2年前、マッチングアプリで出会った。穏やかで優しくて、私の話をいつも「うんうん」と聞いてくれる。
子どもはまだだけど、共働きで平穏な日々。私たちは、いわゆる「アプリ婚」の成功例だと自負していた。
出会いのきっかけのアプリを退会し忘れていた
その日の夜、スマートフォンの整理をしていた時のことだ。
「あ、これ。まだ残ってたんだ」
画面の隅に追いやられていた、ピンク色のアイコン。私たちが運命の出会いを果たした、あのマッチングアプリ。結婚してからは一度も開いていなかった。退会手続きを忘れていたことに気づき、私は軽い気持ちでアプリを起動した。
懐かしい画面。そこには、かつての私のプロフィールが残っていた。
「ついでに、亮平のも残ってるのかな……」
ほんの、本当にほんの少しの出来心だった。夫の名前で検索をかける必要すらなかった。かつてやり取りをしたメッセージリストの最上部に、彼のアイコンはあった。

