夫のスマホを覗いた幸恵は、里奈との内緒の密会約束を知り絶望する。残業と嘘をつき里奈の家へ向かう義彦を追うと、そこには甘える里奈と拒まない夫の姿が。裏切りを確信した幸恵は、娘を連れて家を飛び出した。
衝動に負けて見てしまった夫のスマホ
それからの数日間、私は疑心暗鬼の沼に沈んでいきました。義彦のスマホが鳴るたびに、通知画面が里奈からのものではないかと過剰に反応してしまいます。
ある夜、義彦が風呂に入っている隙に、どうしても抑えられなくなった衝動に負けて彼のスマホを見てしまいました。 そこには、私の想像を絶するやり取りが並んでいました。
里奈:『義彦さーん、またエンジンから変な音がするの(泣)明日、仕事帰りにお家の方まで見に来てくれたりしないかな?』
義彦:『仕事帰りか……。まあ、近くを通るからいいよ。19時くらいかな』
里奈:『やったぁ! 義彦さん大好き! 幸恵ちゃんには内緒だよ? 焼きもち焼かれちゃうから(笑)』
義彦:『了解。内緒にしとくよ』
夫の不貞疑惑をこの目で確かめたい
「……嘘、でしょ」
視界が歪みました。
「仕事だから」と言いながら、裏では彼女と結託して私を「口うるさい妻」として扱い、隠れ蓑にしていた。 「大好き」なんて言葉を平気で送ってくる女と、それを否定もせず受け流す夫。 私の中の何かが、音を立てて崩れ落ちました。
翌日、義彦が「今日は残業で遅くなる」と言って出かけていく後ろ姿を、私は冷めた目で見送りました。どうせ残業なんて嘘。彼女の家に行くんでしょ。
楓を連れて、私は夫に内緒で彼の後を追いました。情けない、惨めだと思いながらも、真実を確かめずにはいられなかったのです。

