実家に逃れた幸恵は、密会の証拠写真を義彦に突きつける。焦って追いかけてきた義彦は両親に追及され、ようやく自らの愚かさと里奈の悪意に気づく。膝をつき謝罪する夫に、幸恵は冷徹に「連絡先の完全削除」を命じる。
思わず実家に逃げ帰る
実家に着くと、母は驚きながらも何も聞かずに私たちを受け入れてくれました。楓を寝かしつけた後、ようやくスマホを見ると、義彦から大量の着信とLINEが入っていました。
『幸恵? どこにいるんだ? 楓は?』
『今帰ったら誰もいないし、荷物もなくなってる。どういうことだよ』
『お願いだ、返信してくれ』
私は震える指で、一枚の写真を送りました。 先ほど、暗闇の中で撮影した、彼と里奈さんが寄り添っている写真です。
夫からの必死の弁明
それから数分後、電話がかかってきました。私は迷った末に出ることにしました。
「……何?」
『幸恵! 違うんだ、あれは本当に仕事の延長で、彼女がどうしてもって言うから……!』
「仕事の延長で、妻に内緒で家まで行くの? 『大好き』なんて言われて、喜んでお茶まで飲みに行くのが、あなたの言う『給料のため』なの?」
私の冷え切った声に、義彦は絶句しました。
「彼女、私のことが嫌いなのよ。知ってた? 彼女にとって、あなたは私に勝つための『道具』なの。あなたは自分の価値を上げるために、妻を裏切ってまで、その道具になり下がったのよ」
『……そんなつもりじゃなかったんだ。ただ、頼りにされるのが、その……営業成績も上げなきゃいけないプレッシャーもあって……』
「言い訳はいいわ。私はもう、あなたを信じられない。里奈さんと仲良く『お客様対応』を続けてればいいじゃない。私は楓を守るから」
私は一方的に電話を切り、電源を落としました。

