「婦人会長」である山本さんとともに、「監視の鬼」である康代さんに、訴えに向かった、優香。その場に、康代さんの夫…「自治会長」も呼び、事態は急変しました。
自治会長が味方に
山本さんから自治会長に話がいった時、彼はあまり真剣に取り合ってくれなかった。
「監視?はは、大げさな…あいつも、自治活動をはりきっているだけだよ」
「ことなかれ主義」で、会長という仕事も惰性でつづけている彼は、活動自体をきちんと見ていない…。
必死に山本さんが説得をつづけ、話し合いを見てもらうことになった。
結果、康代さんの醜い本性が露呈した。夫の前ではうまくごまかしていたようだが、先ほどの見下し発言を見て、彼も思うことはあったのだろう。
「全員に物を持って回る必要はないだろ?何を勝手な指示をしているんだ…」
「だって…あんたがしっかり管理しないからよ!」
「おまえは…いつも出しゃばりすぎなんだよ!」
「なによ!そもそも、あんたがたよりないから、私がやってんじゃないの!」
いつの間にか、事態は夫婦げんかに発展する。まだ、ワーワーとわめく康代さんをおくに押し込め、自治会長は頭を下げた。
「すまない…とりあえず、ここはまかせてくれ。あいさつ回りはしなくていいから」
彼にそう言われた時、私は山本さんと目を合わせ、ホッとした。
元「自治会長妻」のあわれな転落…
それから、康代さんの姿をあまり見なくなった。
専業主婦である彼女は、頻繁(ひんぱん)に近所へ出回っては、みんなを監視していたのに…その姿がなくなった。
その間、3度目の清掃活動を迎え、欠席した私は、ハルナをハロウィンイベントに参加させてあげることができた。普段あまり遊びに行けない彼女の笑顔を見られて、うれしく思う。
それから数日後…山本さんから驚愕のメッセージがスマホに送られてきた。
何と、離婚を切り出された康代さんは、引っ越したのだという。となり町の息子夫婦の家へころがり込んだらしい。
「以前から、会長も不満に思う部分があったそうよ。熟年離婚しちゃったみたい」
この顛末には少し、心をいためた。
「私が…余計なことをしたせいかもしれません」
罪悪感から打ったメッセージに、山本さんは明るく返す。
「これは、康代さん自身のしっぺ返しよ!むしろ、あなたのおかげでいい自治会になって、みんな感謝してると思う」
私だって、山本さんに感謝している。笑顔で「こちらこそ、ありがとうございます」と送信した。

