法政大学の内部で不正の疑いを通報したところ、逆に「パワハラ」をでっちあげられ、懲戒処分を受けた──。
そんな被害を訴える元職員の女性が、学校法人と当時の理事長らを相手取り、連帯して計1億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
4月20日に開かれた第1回口頭弁論の後、原告の女性と代理人が都内で記者会見を開いて明らかにした。
●法令違反を通報した後に「懲戒処分」
訴状によると、女性は2020年4月、経理部に在籍していた際、当時の田中優子理事長から施設部の業務改革を指示され、同年6月に異動した。
業務にあたる中、教室などで使用するオーディオビデオ機器の発注をめぐり、他社の参入を妨害している可能性など、複数のコンプライアンス違反や法令違反の疑いを把握し、理事会に内部通報したという。
法政大学は2021年12月、女性に自宅待機を命じ、弁護士を含む調査委員会を設置。その結果として、「女性が他の職員にパワハラをした」とする報告書がまとめられ、女性に懲戒処分が通知された。
さらに2022年11月には、学内の部長会議で、女性の氏名を明かしたうえで調査報告書の内容が共有されたという。その後、パワハラが事実のものとして、研修まで実施されたという。
原告側は、こうした一連の対応によって、名誉や社会的評価が傷つけられたなどとして、2025年11月に提訴した。
●別の裁判で「懲戒処分は撤回」、大学側と和解
4月20日の第1回口頭弁論後、原告と代理人が記者会見を開いた。
代理人の倉持麟太郎弁護士によると、今回の訴訟とは別に、女性が懲戒処分の無効を求めた労働審判・労働訴訟では、大学側が懲戒処分を撤回する形で和解が成立しているという。
倉持弁護士は「法政大学による法令違反行為や不正行為に気づいてしまった原告を、あらゆる手段を使って“合法的に抹殺”しようとした事件だと思っています」と批判した。

