中南大学の研究チームは、アルコール摂取と死亡率の関連を13年以上追跡した大規模研究を米国心臓学会議(ACC2026)で発表しました。その結果、ビールやスピリッツは少量であっても死亡リスクの上昇と関連し、アルコールの種類を問わず多量飲酒はあらゆる死亡リスクを高めることが明らかになりました。詳細について中路先生に聞きました。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
中南大学の研究チームが発表した内容を教えてください。
中路先生
中南大学の研究チームは、2006~22年にUKバイオバンクに登録した約34万人を対象に、アルコール摂取量と死亡率の関連を追跡調査しました。平均13.4年にわたる調査期間において、多量飲酒は「全死因」「心血管疾患」「がん」を含むあらゆる死亡リスクを高めることが示されました。またアルコール飲料の種別では、スピリッツ、ビール、シードルは少量〜中等量であっても死亡リスクの上昇と関連していた一方、少量〜中等量のワインは死亡リスクの減少傾向が見られました。ただし、どの種類であっても多量摂取はさまざまな部位のがん死亡リスクを高めることが併せて示されていました。これらの結果から、アルコールの種類や量によって死亡リスクへの影響は大きく異なることがわかりました。
飲酒とがんの関係性
編集部
今回の研究テーマに関連する、飲酒とがんの関係性について教えてください。
中路先生
飲酒は口腔・咽頭(いんとう)・食道・肝臓・大腸・乳腺など多くのがんの原因となります。アルコールとその代謝産物であるアセトアルデヒドにはいずれも発がん性があります。特に、飲酒で顔が赤くなる体質の人はアセトアルデヒドの分解が遅く、頭頸部がんや食道がんのリスクが高くなるため注意が必要です。さらに喫煙との組み合わせでリスクは一層高まります。がん予防の観点からは、飲酒に「安全な量」はありません。

