研究内容への見解は?
編集部
中南大学の研究チームが発表した内容への見解を教えてください。
中路先生
本研究は、「UKバイオバンク」という大規模コホート(共通条件を持つ調査対象者の集団)を用いた質の高い解析であり、アルコールの種類や量と死亡リスクの関係を丁寧に示した重要な報告です。一方で、あくまで観察研究であり、飲酒量や飲み方はベースライン時(調査開始時点)の自己申告に基づいているため、過少申告やその後の飲酒習慣の変化など、避けられない限界(リミテーション)があります。また、「ワインをよく飲む人」は食事内容や運動習慣、社会経済的背景など、健康に影響するさまざまな要因が、他の飲料を好む人とは異なっている可能性が高く、統計的に調整してもこうした違いを完全に取り除くことはできないと思います。
そのため、今回の結果をもって「ワインなら健康によい」「種類さえ選べばリスクを帳消しにできる」と受け取るのは適切ではなく、「多量に飲めばどの種類であっても確実にリスクは高まる」という点をまず押さえるべきだと考えます。
総括すると、本研究は「お酒の種類によって死亡リスクに差がある可能性は認められたものの、どのようなお酒であっても、飲めば飲むほど健康リスクは着実に積み重なっていく」というメッセージを、改めて裏づけたものとして捉えるのが妥当であり、“飲み方を工夫して安心する”よりも“量と頻度を見直す”きっかけとして受け止めるのが望ましいと考えます。
編集部まとめ
飲酒は種類や量にかかわらず、がんをはじめとするさまざまな病気のリスクを高める可能性があります。特に飲むと赤くなる体質の人は要注意です。「少しくらいなら大丈夫」と思わず、休肝日を増やすことも意識してみましょう。

