雨の日の図々しいお願い
久しぶりに自宅へ遊びに来てくれた友人の佳代。積もる話に花を咲かせ、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。しかし、彼女が帰ろうとしたとき、外ではポツポツと雨が降り始めていたのです。
「あ、雨降ってるね。ねえ、使ってないビニ傘(ビニール傘)とかない?」
佳代から発せられたその言葉に、私は思わず心の中でムッとしてしまいました。
わが家は駅まで向かうバス停がすぐ目の前にあり、少し走れば20秒ほどで着く距離です。それなのに、当然のように「もらえる傘」を探す彼女の態度に、違和感を拭えませんでした。
返ってこない善意
私が彼女の言葉にムッとしたのには理由がありました。
以前も同じような状況で佳代に傘を貸したことがあったのですが、結局そのまま返ってきていないのです。それどころか、他の友人数名も同じように傘を借りて返してくれていません。友人を家に招くうちに、わが家の傘立てはどんどん寂しくなっていきました。
現在、わが家にある大人用の傘は、たったの2本。しかもそのうち1本は骨がゆがんで壊れかけています。
「今日は傘が全然ないの、ごめんね…たくさんあったんだけど、誰も返してくれなくてさ~」
角が立たないよう、冗談めかしてそう伝えてみました。貸せない申し訳なさと、暗に「前回のも返ってきていないよ」というメッセージを込めたつもりでした。

