写真提供:PIXTA
出張や旅行の際、天候による飛行機の欠航はスケジュールに影響を及ぼす大きな要素です。一見すると穏やかな天候であっても、上空の気流や滑走路の状況、目的地の視界不良など、さまざまな要因によって運航の見合わせや欠航となるケースがあります。運航の可否を判断する際、どのような気象条件が基準となっているのでしょうか。この記事では、欠航が生じやすい具体的な条件や、万が一の事態に備えて事前に検討できる対策について解説します。
<こちらの記事もよく読まれています!>→小型飛行機で台風の目に突入も!豪雨の研究最新事情
気象が原因で飛行機が欠航になるケース
飛行機の運航は、出発地や目的地の天候だけでなく、上空の気象状況や滑走路のコンディションなど、多角的な視点から航空会社が独自に判断しています。主に欠航の要因となりやすいのは、以下の4つの条件です。
風
風は、離着陸の可否を左右する重要な要素です。中でも「横風(機体の横から吹く風)」と「背風(機体の後方から吹く風)」には運航上の制限があります。一般的な旅客機の場合、横風の制限値は約15~20m/s程度、背風は約5~8m/s程度とされています。
これらの数値は、航空会社が機体メーカーの設計に基づき作成し、国土交通大臣の認可を受けた運航規程に記されています。気象状況がこの制限値を超える場合、原則として離着陸は見合わせられます。また、これらの制限値は路面状況によっても変動します。視程が悪化している際や、雪や氷で滑走路が滑りやすくなっている状況下では、安全確保のために通常よりも厳しい制限値が適用されることがあります。
視程
「視程」とは水平方向の見通し距離を指し、運航判断に直結する重要な情報です。霧や降水のほか、黄砂などの塵も悪化の原因となります。特に離着陸時には、滑走路上の見通し距離である「滑走路視距離(RVR)」が重視されます。RVRは空港の専用装置でリアルタイムに観測されており、この値が空港ごとに定められた最低気象条件を下回ると、航空機は離着陸ができません。
また、雲の量や高さも影響します。雲が低く垂れ込めると着陸時に滑走路を目視できなくなるため、高度な計器誘導装置のない滑走路では運航が制限される要因となります。
雷
積乱雲に伴う雷で飛行機が欠航することもあります。雷が空港周辺に接近すると、落雷による機体や地上設備への被害を防ぐためだけでなく、地上作業員の安全確保のために給油や手荷物の積み込み、機体の誘導などの作業が中断されます。
積雪・凍結(冬季のリスク)
冬季の運航において、滑走路の積雪状況は機体の安全性に直結するため、厳格な離着陸制限が設けられています。具体的には、下のような離着陸の禁止基準が定められています。
・水またはシャーベット状の雪(スラッシュ):深さ1.3cm以上:
・湿った雪:深さ5.1cm以上
・乾いた雪(離陸時):深さ7.1cm以上
・乾いた雪(着陸時):深さ15.3cm以上
これらの基準に加え、空港側では除雪作業実施基準に基づき、計画的に除雪を行い、安全が確認されるまで運航は停止されます。また、機体そのものへの着氷も、翼の揚力を低下させるなど飛行の大きな妨げとなるため、防除雪氷作業が必要となります。
<こちらの記事もよく読まれています!>→地震雲って本当にある?変わった形をした雲の正体
飛行機が欠航になるタイミングはいつ?
写真提供:PIXTA
飛行機が欠航になるタイミングは、一律には定められていません。これは、航空会社が刻々と変化する気象条件を精査し、常に最新の状況に基づいて安全性を判断しているためです。
台風のように、ある程度天候の見通しがつく場合には、利用者の混乱を避けるため、出発の1~2日前を目安に早期に欠航が決まる場合もあります。一方、局地的な雷などの予測が困難な気象事象については、出発間際に判断が下されることもあります。最新の運航状況は、各航空会社のWebサイトにある「発着情報」などで順次更新されます。
