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楊貴妃が愛したおしゃれ空間。暮らしに溶け込む“美”のアートとは

楊貴妃も愛した生活の中の“美”

楊貴妃が生きた唐の時代のアートは特別な場所に飾るだけでなく、暮らしのなかに自然と溶け込んでいました。生活に使う道具一つにも素材や装飾へのこだわりがあります。

今回はお風呂・香炉・鏡・宝石など、唐の日々を彩っていた身近なアートを見ていきましょう。

華やかに演出されたお風呂

華清宮は唐代の離宮および温泉宮です。玄宗がもとは息子の妃であった楊貴妃(当時は楊玉環)を住まわせたのち、貴妃として迎えます。唐代の漢詩には、楊貴妃がこの華清宮で湯浴みしていたことも記述されています。

華清池, Public domain.

華清宮には現代でいうお風呂が多数存在しましたが、それらは単に体を清めるだけのものではありません。

湯船には美しい石が敷き詰められ、銀や香木でつくられた船が浮かび、櫂は宝玉で飾られていたと伝えられています。さらに、仙人の住むといわれる島をかたどった山々が湯の中に配されるなど、華やかな演出がなされていました。

流れる湯には宝石が混じることもあったとされ、その贅沢さは楊貴妃に相応しい“美”のアートそのものです。

飾りたくなるデザインの香炉

唐では良い香りがすることが美人の条件とされ、香を焚くのが習慣でした。楊貴妃もその代表的な存在です。ムスクの香りを好み、自然と全身から良い香りがする特別な体質であったといわれています。

香を嗅ぐ素敵な道具香炉, Public domain.

そんな唐の暮らしに欠かせなかったのが香炉です。部屋に置かれた香炉は、香りを楽しむ道具であると同時に、インテリアのような役割も担っています。

唐三彩の多くは副葬品ですが、香炉のような生活雑貨も一部つくられています。思わず飾っておきたくなるような美しいデザインのものも存在しました。独特の色合いと立体的な造形は、香りとともに屋内でのリラックス時間を演出していたことでしょう。

背面の装飾が美しい銅鏡

銅鏡は青銅でつくられた鏡のことです。古くから使われてきた道具ですが、その主な役割は現代の鏡のように姿を映すことではありませんでした。古代中国では呪術のために使用する、特別な道具であったとされていた重要なアイテムです。

ライオン葡萄鏡, Public domain, via Wikimedia Commons.

唐の時代には背面の装飾が美しい銅鏡が登場します。なかでも「海獣葡萄鏡」の背面には葡萄の唐草文様が広がり、その間に龍・獅子・麒麟・孔雀など、さまざまな生き物たちが彫り込まれています。

ちなみに「海獣」とは異国の動物を指し、当時の異文化交流も感じられます。モチーフとなっている葡萄もシルクロードを通じて伝わったもので、豊穣や繁栄の象徴とされていました。

アクセサリーや楽器を彩る宝石

唐の時代には金・銀・銅でつくられた簪が、髪をまとめる実用品としてだけでなく、美しさを演出するアクセサリーとして身につけられていました。簪の頭部には多彩な文様が施されるなど、デザイン性の高いものも多く見られます。

当時好まれていた宝石は翡翠と真珠です。翡翠は清らかさや知恵、強さ、不老不死を象徴しています。真珠は月から生まれ太陽に育まれたものと考えられ、光と影2つの力をあわせ持つと信じられていました。

新潟県糸魚川市で採取された軟玉, Public domain, via Wikimedia Commons.

宝石による装飾は楽器にも施されていました。楊貴妃が持っていたとされる打楽器・磬は、藍田で採れる緑玉が磨き上げられたもので、見た目にも華やかな仕上がりであったと伝えられています。音だけでなく演奏する姿の美しさまでも意識されていたことが分かります。

【まとめ】ちょっと素敵なものを選ぶだけでアートに

楊貴妃も愛した “美“のアートは、特別な芸術作品を飾るというよりも、日々使うものを楽しむことです。香炉や鏡、アクセサリーといった身近な道具もこだわりが込められ、唐の時代の暮らしには自然とアートが存在していました。

現代でも「ちょっと素敵だな」と思えるものを選ぶだけで、日常がアートに結びつくのかもしれません。

配信元: イロハニアート

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