ポイント③キーワードだけじゃない!「コラム」でより深い学びを

100のキーワードに加え、3名のライターが独自の観点で合計5本のコラムを寄稿。美術を楽しむ新たな視点を提示できたのではないかと思います。
私は「なぜ巨匠に女性はいないのか?」「盗まれた名画・失われた名画」の2本を担当しました。

1つめのコラム「なぜ巨匠に女性はいないのか?」では、有名な画家のほとんどが男性であることに注目しました。美術史もジェンダーバランスの偏りが激しいのですが、実力派の女性画家は大昔から存在していたんです。
コラムでは数々の女性画家のうち、マリー・アントワネットのお気に入り画家ヴィジェ=ルブラン、上村松園、草間彌生などをご紹介しました。
本書に登場する芸術家も大半が男性ですが、今後、美術史の見直しが進めば女性画家たちの名前はもっと前面に出てきます。10年後、20年後も古くならない本にするには、女性画家をできる限り広く載せたほうが良いだろう……と考え、コラムを書かせていただきました。

コラム2つめは「盗まれた名画・失われた名画」。過去にルーヴル美術館から盗難された《モナ・リザ》や、日本国内で焼失したゴッホ《芦屋のひまわり》など、盗まれたり失われたりした有名絵画を特集しました。
見ることができない作品は研究される機会も減り、美術史から存在が消えてしまうことも。現に、作品が「存在しない」がゆえに歴史を正確に捉えられなくなっている事例も起きています。

本書のような美術の案内本では現存する作品を紹介するのが基本ですし、美術館でも「生き残っている作品」にしか出会えません。そんななか、「失われた作品」にも関心を向けていただけたら……という思いで、コラムを執筆しました。
少し前にもルーヴル美術館で盗難事件がありましたし、以降もあちこちで盗難騒ぎが起きています。きっとこれからも起こるでしょうし、このコラムはいつまでも時事ネタであり続けるのかもしれません。なんと皮肉な…。
【まとめ】縦糸と横糸のような『語れる名画BEST100』

実は本書、モナリザが表紙の『名画BEST100』の第二弾となります(それぞれ個別に読める本なので、続編ではないです)。
前作では100人の画家を取り上げ、親しみやすいエピソードとともに紹介しました。第二弾の企画が持ち上がったのは、前作が好評をいただけたからに他なりません。お求めいただいた皆さま、ありがとうございました!
しかし、この手の本で第二弾って異例ではないでしょうか? というのも、前作は1冊で美術の基礎知識をまるっと学べることを目指した本。重要な画家はすでに100人網羅したので、続編を普通に作ると、101〜200位の画家を紹介するマニア向けの本になってしまいます。(それはそれで面白そう)

そこで切り口を刷新し、今回は画家名ではなく「キーワード」に着目しました。「印象派」など画家のくくりだったり、「油彩画」のような技法的な話だったり、カテゴリを問わず重要な用語を100個収録。内容のレベルとしては、前作と同じく美術初心者の方が楽しく読めることにこだわりました。
前作では「画家」、今作では「キーワード」を軸としたわけですが、2冊とも楽しく学べる易しい本です。レベル感も似ているのに、それぞれ違う味がする本になりました。この2冊が生まれたことが、美術を語る切り口の多彩さの証明でもあるように思います。
2冊まとめてお読みいただけたらとても嬉しいですが、1冊だけでも十分にありがたいです。ぜひ『語れる名画BEST100』をお手に取っていただけますと幸いです!
