女王さまのイヤミと息子の活躍
「でも、忘れないでね。このチームは、個人の実力だけじゃなくて、"親の貢献度"も同じくらい大事なんだから。子どもを伸ばしたいなら、まずは親がどううごくか……それが常識よ」
秋乃さんの言う「貢献度」とは、彼女への「忠誠心」を指す。
彼女のきげんを損ねず、彼女の言うことに「イエス」と答えつづける…。そうすれば、その子は試合で積極的に使われ、多少のミスをしても、コーチからきびしく叱責されることはない。
彼女に目を付けられれば、親はムシされ、陰口をたたかれ、精神的に追い詰められていく…。そして、その子の出場機会も目に見えてへっていくのだ。
30代の若手コーチも、保護者会の…とりわけ秋乃さんの圧力には抗えないようだった。
練習中、秋乃さんが「今の守備位置、少し前すぎない?」と口を出せば、コーチは苦笑いしながらも「たしかに…調整します」と従っていた。
技術指導の現場にまで、保護者の派閥が影響を及ぼしている現状に、私は言いようのない不安を覚えていた。
「お母さん! 今の、バックホーム見た!?」
汗と泥で顔をよごした桃太が、かがやくような笑顔でかけよってくる。
「見てたわよ!すごい肩ねー!びっくりしちゃった」
(桃太がたのしく野球をつづけられるなら…私が少しくらいイヤな思いをしてもいい)
そう、自分に言い聞かせた。けれど、この時の私はまだ、この「がまん」が、長くはつづかないことを理解していなかった。
あとがき:主役は子どもたちなのに…
夢に向かって懸命にがんばっている息子を見ると、母親として保護者間のトラブルで「水を差したくない」…そんな春子の気持ちは、いたいほどわかりますよね。
主役は子どもたちですが、時として、こうした大人たちの欲望に巻き込まれ、いやな思いをする場面もあります。大人としてのふるまい方について、考えさせられますね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: kgrddm
(配信元: ママリ)

