運動中や運動後に咳や息苦しさを感じたことはありませんか? 体力の問題と考えられがちな咳や息苦しさには、喘息(ぜんそく)が関係している場合もあります。今回は、喘息の基本から運動に関係する喘息の特徴や対策について、医療法人サムグレイス 名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック院長の表先生に解説してもらいます。
※2026年4月取材。

監修医師:
表 紀仁(医療法人サムグレイス 名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック)
名古屋大学医学部医学科を卒業後、公立陶生病院で初期研修を実施。その後は呼吸器内科医員として勤務し、2017年に名古屋大学大学院医学系研究科で医学博士号を取得。名古屋大学医学部附属病院呼吸器内科学講座助教、Yale大学呼吸器・集中治療部門などを経て、2023年に名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニックを開院。日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会 結核・抗酸菌症認定医。医学博士。
喘息ってどんな病気?
編集部
喘息とは、どのような病気でしょうか?
表先生
喘息は、主に気道にアレルギーによる慢性的な炎症が起こり、さまざまな刺激に対して過敏になることで発症する病気です。気道が一時的に狭くなることで、咳や喘鳴(ぜんめい/ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、息苦しさなどの症状が繰り返し表れます。症状の強さや頻度には個人差があります。
編集部
どのような症状が出ることが多いですか?
表先生
発作的な咳や息切れ、胸の圧迫感、ヒューヒューという呼吸音などが代表的です。夜間や早朝に悪化しやすい傾向があり、風邪をきっかけに症状が長引くケースや、慢性的な咳だけが続くケースもあります。
編集部
症状が出るきっかけについて教えてください。
表先生
アレルゲンや感染、気温差、ストレスなど、さまざまな要因が引き金になります。これらの刺激により気道が収縮し、空気の通りが悪くなることで症状が表れます。複数の要因が重なることで、さらに悪化・長期化することも少なくありません。
編集部
発症しやすい人の特徴はありますか?
表先生
アレルギー体質の人や家族歴がある人は発症しやすい傾向があります。また、喫煙や大気汚染、ペット、ダニ・ハウスダストなどの環境要因も影響します。アレルギー体質や環境要因などの背景が重なることで、気道の炎症が持続しやすくなり、症状につながります。
喘息にも種類がある? アスリートも喘息に!?
編集部
喘息には、いくつか種類があるのでしょうか?
表先生
はい、アレルギーが関与するタイプのほか、感染や気候変化をきっかけとするものなどがあります。また、小児期から続くものや成人発症のものなど、発症時期による違いもあります。原因や誘因によって分類されることが一般的です。やや特殊な例としては、「運動誘発性喘息」という病気があります。運動に関連して喘息の発作が起こるタイプで、オリンピック選手でも約8%に見られ、特にマラソンなどの持久競技をする人に多いと報告されています。「アスリート喘息」と呼ばれることもありますが、必ずしもアスリートレベルの運動でなくても起こり、部活動や体育の時間に症状が出る子どももいます。
編集部
運動誘発性喘息の症状について詳しく教えてください。
表先生
通常の喘息の発作と同様に、発作性の咳や息切れ、胸の圧迫感、うまく息が吸えないような症状が見られます。運動中だけでなく、運動後に遅れて症状が出ることもあり、見逃されやすいため注意が必要です。
編集部
症状が起こりやすいタイミングはありますか?
表先生
寒い季節や花粉の時期、空気が乾燥している環境などでは気道が刺激されやすく、症状が出やすいとされています。また、運動の強度が急に上がったときや、十分なウォーミングアップを行わずに運動を始めた場合にも、症状が出やすい傾向にあります。また、もともと喘息のコントロールが不十分な状態では、軽い運動でも症状が誘発されやすくなるため、普段からの意識・対策が重要です。

