
もし、子どもに「死にたい」と言われたら、あなたはどうしますか? 耳を疑いたくなるような言葉に、どう反応したら良いかわからない…という人も多いのではないでしょうか。
『娘に死にたいと言われました 不登校の理由』は、ある日そんな衝撃的な言葉を呟いたのを境に不登校になってしまった娘と、娘と向き合う母の日々を描いたセミフィクションコミックです。今や決して珍しくない、誰にでも起こりうる身近な問題である「不登校」をテーマにした本作。著者のとーやあきこさんに、本作を描いたきっかけや想いについてお聞きしました。
衝撃的な発言を境に、学校へ行かなくなった娘

「あーあ、なんかもう…死にたいかも」
ある日の宿題中、スマホを見ていることを注意したら、ため息をつきながら突然そう呟いた小学5年生の一人娘・真奈。母の千紗は「冗談でもそんなこと言うのは絶対にやめなさい!」と注意しますが、真奈はその日を境に学校へ行かなくなってしまいます。


クラスでいじめがあるのか、保育園から仲良しのナノちゃんとユキエちゃんとケンカしたのか、それとも他の子とトラブルがあったのか…。いろいろな可能性を考える千紗ですが、担任の先生と面談しても、真奈の親友のママ友と話しても、その理由はわからなくなるばかりです。


このままずっと学校に行かなかったらどうしよう…という不安を抱きながらも、真奈のためにと、無理やり学校に行かせず、理由を問い詰めず、前向きに明るく接します。ですが、学校に行かなくなってあっという間に3週間が経ってしまいました。

そんな中、親友が家を訪ねてきたのをきっかけに、一度は学校へ行くことができた真奈。千紗がホッとしたのもつかの間、その日を境に状態は悪化してしまいます。泣きながら帰宅した真奈は部屋に閉じこもるようになってしまい…。


いったい、真奈に何があったのでしょうか?
不登校に悩む母娘の葛藤を描いたセミフィクション作品について、著者のとーやあきこさんにお話を伺いました。
本当に理解できているのか? 常に悩んで描き上げた作品
――「合格にとらわれた私」に続く2作目の単行本となるとーやさん。「不登校」をテーマに新作を描こうと思われたきっかけはなんですか?
とーやあきこさん:小学生の頃に不登校を経験したという担当編集者さんから、「不登校について描いてみませんか?」とお話をいただいたのがきっかけです。デリケートなテーマですし、私自身に経験がないので、最初は自分が描いていいのかかなり迷いました。でも、「この作品を描くことで、学校へ行けない子どもたちについて向かい合って考え抜いてみたい」と思い、描くことを決めました。

――描く前は葛藤があったということですが、作品を描いているときはどうでしたか?
とーやあきこさん:常に悩んでいた気がします。「学校へ行けない子どもたちの辛さ、子どもを支える親や先生の苦しさを自分は本当に理解できているのだろうか?」と、ずっと自問自答しながら描いていました。描き終えた今でも、その気持ちは消えずに持ち続けています。
――「死にたい」というダイレクトな言葉が入っているタイトルに衝撃を受けました。そこに込めた想いを教えてください。
とーやあきこさん:「死にたい」という言葉は、大人にとっては衝撃的な言葉だと思います。ただ、子どもたちの間では「疲れたぁ~」「サイアク~」と同じようなニュアンスで使われていることも多いんですよね。作中でも真奈が笑顔で「死にたい」と言っていたように、親としては子どもが発した言葉にどれだけの重みがあるかどうかを見分けることが難しくなってきているように思います。


一見ダイレクトな言葉に聞こえるこの言葉のもつ複雑さ、そして子どもに言われたときの親の戸惑いなど、さまざまなことを絡めてこのタイトルをつけることに決めました。

