治療と制度・支援の考え方
編集部
「認知症かな?」と思って医療機関を受診した場合の流れを教えてください。
神谷先生
まず、現在困っている症状や生活背景、持病などについて質問票を記入してもらいます。回答内容を基に記憶力の質問検査、画像検査(MRI、脳血流SPECT、ダットスキャン)、血液検査など、必要に応じた検査を行い、認知機能低下の原因となる疾患がないかを確認します。
編集部
認知症と診断された場合、どのような治療を行うのでしょうか?
神谷先生
認知症の治療には、薬だけでなく、日常生活を支える工夫や周囲のサポートも大切で、運動や食事、難聴への対応などが有効です。アルツハイマー病の軽度認知障害に該当する場合は、アミロイドβタンパクを除去する治療についても説明します。患者さんと家族の希望があれば、専門施設へ紹介し、アミロイドPETや脳脊髄液の検査を行った後、アミロイドβ除去の点滴治療が開始されるケースがあります。当院でも対応していますが、医療機関によっては、厳格な適応基準を満たした上で点滴治療導入後の継続治療を行うことも可能です。症状や暮らしの状況に合わせて、利用できる支援制度や環境づくりについても案内し、安心して生活を続けられる体制を整えていきます。
編集部
認知症患者を支える家族として、知っておきたい制度や支援について教えてください。
神谷先生
認知症と診断された場合、介護保険制度などの公的な支援を利用できます。介護認定の結果や症状の程度に応じて、必要なサービスを組み合わせながら生活を支えていきます。症状や生活環境は一人ひとり異なるため、どの制度や支援が適しているかを家族や支援者と一緒に整理していくことが大切です。一人で暮らしている場合、地域包括支援センターと連携して、見守りや支援体制を整えることもあります。また、安全な生活が難しくなってきた場合には、施設入所などを検討することもあります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
神谷先生
認知症患者さんへの対応には、さまざまな選択肢があります。現在は国の施策として「認知症施策推進基本計画」が進められており、本人や家族の視点を大切にしながら、その人らしい生活を支える考え方が重視されています。本人の思いや希望に耳を傾け、納得できる対応を一緒に考えていくことが大切です。
編集部まとめ
認知症は進行性の疾患ですが、早期から適切な診断と支援につなげることで、本人と家族の生活を支えやすくなります。今は、さまざまな制度や支援もあります。「あれ?」と思ったら早い段階で医療機関に相談し、治療や支援、制度を上手に活用することが大事です。

