「橋本病」を発症すると現れる「症状」はご存知ですか?初期症状についても解説!

「橋本病」を発症すると現れる「症状」はご存知ですか?初期症状についても解説!

橋本病は(慢性甲状腺炎)、甲状腺にまつわる自己抗体の病気(自己免疫疾患)です。
甲状腺とは、喉にある蝶ネクタイ型の臓器で、主に身体の代謝を司るホルモンの分泌と調整に関わっています。

「病院で橋本病と言われたが、病名からはさっぱりどんな病気かわらかない」
「橋本病で薬をもらったけれど、これはどうして飲むの?」
「橋本病で薬が出た場合、一生飲み続けなくてはいけないの?」

このように思い悩む方もいると思います。
そもそも、橋本病を含め甲状腺という言葉、また、甲状腺疾患自体が、耳慣れない方も多いかもしれません。
この記事では、橋本病の症状や、なぜ治療が必要かを解説します。

上田 莉子

監修医師:
上田 莉子(医師)

関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医

橋本病でみられる代表的な症状

橋本病でみられる代表的な症状

橋本病とはどのような病気ですか?

橋本病は、別名を慢性甲状腺炎といい、甲状腺にまつわる自己免疫の病気です。橋本病をもっていると、4~5人に1人未満が、甲状腺機能低下症といって、体内で甲状腺ホルモンが徐々に作れなくなる病気を発症します。

ホルモンとは、臓器でつくられ、血流にのって運ばれて目的の臓器に作用し、身体の恒常性を保つために役立つ伝達物質です。甲状腺は、たくさんの種類があるホルモンのなかで、主に代謝に関わるホルモンの分泌と調整を司っています。

橋本病で甲状腺機能低下症になると、甲状腺から出るホルモン、具体的にはfT3(フリーティースリー)とfT4(フリーティーフォー)という甲状腺ホルモンが低下します。
これによって、疲れやすさや寒冷状況への耐性の低下など、全身にさまざまな症状が出現します。
橋本病では、自己抗体というものが絡んで甲状腺機能低下症をきたすことがあります。

抗体とは、身体が細菌やがん細胞などの敵を攻撃する際に作った免疫系の武器です。自己抗体とは、誤って自分の正常な臓器を標的に作ってしまった抗体であり、橋本病は抗TPO抗体や抗Tg抗体(抗サイログロブリン抗体)の関与で甲状腺機能低下症をきたすことが知られています。

参照:『橋本病(慢性甲状腺炎)』(日本内分泌学会)

橋本病でみられる主な症状を教えてください

橋本病では、甲状腺機能低下症をきたすまで症状はありません。
甲状腺機能低下症をきたすと、全身に多様な症状が現れます。

疲れやすい

むくみ

寒がり

体重増加

便秘

眠気

代表的なものは以上ですが、ほかにも眉毛が外側から抜けたり、足がむくんだりするといった症状がみられる場合もあります。さらに、精神の落ち込みの原因が甲状腺機能低下症であることもあります。

やる気が出ない

抑うつ気分

思考が遅い

集中できない

物忘れが増えた感じ

このような抑うつ気分がみられたとき、うつ病などの精神的な疾患のほかに、橋本病によるものをはじめとした甲状腺機能低下症が隠れている可能性があります。

橋本病の初期症状にはどのようなものがありますか?

橋本病による甲状腺機能低下症の初期症状は、かなり曖昧なことが多いです。

なんとなく疲れやすい

だるい

集中力が落ちた気がする

体重が少し増えた気がする

むくむ

これらの症状は軽微なこともあり、気が付かなかったり「気のせいだ」と考えてしまったりして見逃してしまうこともあります。

橋本病で症状がほとんど出ないことはありますか?

橋本病単体では、症状がありません。
橋本病によって甲状腺機能低下症を呈しても、症状がほとんど出ないことはあります。
橋本病による甲状腺機能低下症は、その症状の曖昧さから、「症状がほとんど出なかった」と感じる方もいるかもしれません。
また、甲状腺機能低下症では、症状が出ていても気付きにくく、また、一般的な採血では甲状腺機能まで測定することが少ないので、病院に行っても症状が出そろうまで甲状腺疾患だということに結びつきにくいこともあります。

橋本病|症状の進み方

橋本病|症状の進み方

橋本病はどのように進行しますか?

橋本病で甲状腺ホルモンが低下し、甲状腺機能低下症を発症すると、「なんとなく不調を感じる」程度の軽い症状から、徐々に寒がりや倦怠感などが顕在化していきます。
甲状腺ホルモンのやっかいなところは、標的臓器という甲状腺ホルモンが効く先の臓器に心臓が含まれることです。甲状腺ホルモンが低下すると、心臓の拍動がゆるやかになるため、運動時に酸素を全身の組織に運搬する作用が不十分になります。このため、橋本病があると、その程度によって、すこし動くだけでも疲労がたまりやすくなります。

橋本病を治療しないとどうなりますか?

橋本病による甲状腺機能低下症は、放置するとホルモンの不足した場外が重症化し、粘液水腫性昏睡という病気を発症します。
粘液水腫性昏睡とは、橋本病による甲状腺機能低下症が進行するなどして、重症の甲状腺機能低下症が極限まで進行した危ない状態で、放置すると高い確率で死亡に至る、大変危険な状態です。
このため、橋本病で甲状腺機能低下症を発症していると診断されたら、症状が軽微でも内服治療を継続してホルモンの補充を受けることをおすすめします。
参照:『Myxedema coma: challenges and future directions, a systematic survey and review』(Thyroid Res.)

配信元: Medical DOC

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