英国キングス・カレッジ・ロンドンの研究員らは、歯科を受診した911人を対象に、診療室でHbA1c(過去1~2カ月の平均的な血糖値を示す指標)を測定し、歯周病との関係についての調査結果を発表しました。その結果、約3分の1の人が糖尿病、または糖尿病予備群の値を示しており、歯科への受診が糖尿病の早期発見につながる可能性があることが分かりました。研究内容について濵﨑先生に伺いました。

監修医師:
濵﨑 秀崇(医師)
東京大学理学部卒、広島大学医学部卒。国立国際医療研究センター病院・国府台病院を経て、神奈川県内のクリニックに勤務。糖尿病を専門に、内科疾患および内分泌疾患を幅広く診療している。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
キングス・カレッジ・ロンドンの研究員らが発表した内容を教えてください。
濵﨑先生
キングス・カレッジ・ロンドンで歯科を受診した911人を対象に、診療室でHbA1cを測定し、歯周病との関係を調べた結果、約83%に歯周病が認められました。さらに、歯ぐきが健康な人に比べて歯周病患者さんはHbA1c値が高い傾向にありました。また、糖尿病と自覚していない人のうち約29%は糖尿病予備群、約7%は糖尿病に該当していました。
一方、HbA1c値は年齢およびBMIとの間に明確な関連を示したものの、多変量解析の結果、歯周病診断との関連は統計学的に有意ではありませんでした。すなわち、歯周病と糖尿病の間に因果関係があるとは言えず、研究結果の解釈には注意が必要です。しかし、歯周病と糖尿病の間に何らかの関連があることは確かだと考えられます。
本研究から、約3分の1の人が無自覚に血糖値の異常を抱えており、歯科受診は糖尿病の早期発見に役立つ大切な機会になり得る可能性が示されました。
研究テーマになった糖尿病とは?
編集部
今回の研究テーマとなった糖尿病について、どのような症状が見られるのか教えてください。
濵﨑先生
糖尿病は、症状がほとんどないまま進行することが多く、自身が糖尿病であると気づいていない人も少なくありません。血糖値がかなり高くなると自覚症状が表れ始めます。代表的なものとしては、喉が渇いて水をよく飲むようになる、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすくなるといった症状があげられます。さらに血糖値が高くなると、意識障害を起こす場合もあります。まったく症状がないまま健診で偶然見つかる人もいれば、急な高血糖の症状で発覚する人、目や腎臓の合併症をきっかけに診断される人もいます。気づかないうちに病気が進行しないよう、定期的に健診を受けて、糖尿病を早めに見つけましょう。

