研究内容への見解は?
編集部
キングス・カレッジ・ロンドンの研究員らが発表した研究内容への見解を教えてください。
濵﨑先生
非常に興味深い研究結果です。以前より糖尿病と歯周病は双方向に影響し合うといわれてきました。炎症が糖代謝を変化させ、糖代謝の異常がさらに炎症に影響するのです。糖尿病は初期にはほとんど自覚症状がなく、気づいたときにはすでに合併症が進行していることが少なくありません。例えば、手足のしびれや違和感などを起こす糖尿病神経障害は、糖尿病の前段階から徐々に進行すると報告されています。一方、歯周病も「痛みがないから大丈夫」と放置されがちな病気です。血糖値が高い状態が続くと歯周病が悪化しやすく、歯周病による慢性炎症は血糖コントロールをさらに悪化させる……。このような「悪循環」が体の中で静かに進行します。
悪循環を止めるためにも、糖尿病患者さんにとって定期的な歯科受診は非常に大切です。歯と口腔内の状態がよい患者さんは、血糖コントロールも比較的安定している印象があります。
また糖尿病診療においては、歯科医・内科医・日本糖尿病学会認定糖尿病専門医が情報共有および連携して患者さんを診ていく体制が求められています。歯科受診で歯周病が見つかったら内科でHbA1cをチェック、内科で糖尿病と診断されたら歯周病のチェックも忘れずに――。そのような「双方向の連携」が糖尿病の早期発見・早期治療につながり、患者さんのQOL(生活の質)を守ることになるでしょう。
歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながっています。
編集部まとめ
今回の研究では、歯科を受診した人のうち約3分の1が、自身で気づかないまま血糖値に異常をきたしていることが分かりました。口腔内の健康は全身の健康とも深くつながっています。日頃から丁寧な歯磨きと定期的な歯科検診を心がけ、気になる症状があれば早めに医療機関へ相談しましょう。
- 歯周病の治療回数はどのくらい?1回で治療が終わらない理由や通院の目安を解説
──────────── - 歯茎が腫れる原因は何?疾患別の特徴や治療法を解説
──────────── - 歯周病の初期症状とは?見逃しやすいサインと進行時の変化を解説
────────────

