母を拒絶し、二度と敷居を跨がないと宣言して実家を去る。自宅に戻り、清潔な部屋で家族と過ごす日常の尊さを再確認する可南子。母との決別には痛みを伴うが、彼女は「母・妻」として家族を守り抜く決意を固める。
母の態度で、私の決意は固まった
「触らないで」
私は母の手からひったくるようにしてみちるを抱き寄せました。
「……え?」
「お母さん、なかったことにはできないよ。謝罪の一言もないまま、いい顔だけしようとするなんて、絶対に許さない」
親戚たちの前で冷たく言い放つ私に、母は一瞬で般若のような顔になりましたが、体面を気にしてそれ以上は何も言ってきませんでした。
帰りのタクシー。窓の外を流れる実家の景色を見ながら、私は心に決めていました。
散々だった帰省で決意したこと
家に着いてすぐ、私は家族LINEにメッセージを送りました。
『今回は散々な帰省でした。学人とみちるにあんな思いをさせたこと、一生忘れません。お母さんから誠実な謝罪がない限り、もう二度と実家の敷居は跨ぎません。連絡もしないでください』
父からはすぐに謝罪の返信が来ましたが、母からは一切反応がありません。きっと今ごろ「育ててやった恩を忘れて」と近所に言いふらしているのでしょう。 でも、もういいんです。
「可南子、顔を上げて」
自宅のリビングで、学人が温かい紅茶を淹れてくれました。
「これからは、僕たちが作るこの家を、世界で一番居心地の良い場所にしよう。みちるがのびのび育てる場所をさ」
その言葉に、私はようやく救われた気がしました。

