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産後うつの初期症状で見逃されやすいサイン。「赤ちゃんがかわいくない」と感じる前に受診を【パートナーも必見】

産後うつの初期症状で見逃されやすいサイン。「赤ちゃんがかわいくない」と感じる前に受診を【パートナーも必見】

出産は喜びと同時に、心と体に大きな変化が起こる出来事でもあります。慣れない育児や睡眠不足が続くなか、「涙が出る」「気分が落ち込む」「眠れない」といった不調を感じていても、「産後だから仕方ない」「自分が頑張ればいい」と一人で抱え込んでしまう人も少なくありません。しかし、その不調は産後うつのサインである可能性もあります。産後うつは決して珍しいものではなく、早期発見と周囲の支えによって回復できることが分かっています。そこで今回は、産後うつのサインや受診の目安、パートナーの関わり方について、Dr.Ridente株式会社代表取締役の種市摂子先生に詳しく解説してもらいました。

※2026年4月取材。

種市 摂子

監修医師:
種市 摂子(Dr.Ridente株式会社 代表取締役)

香川大学医学部、名古屋大学医学部大学院卒業。救急医療、脳神経外科診療、睡眠診療、精神科診療などを経て、予防医療を目的に、2008年より産業医サービス提供開始。これまでに、楽天株式会社をはじめ、IT企業、ベンチャー企業、IPOを目指す企業を中心に、650事業所以上を支援、ハラスメントゼロ・休職者ゼロのカスタマーサクセスにつなげている。日本精神神経学会専門医・指導医。Well-being向上委員会委員、日本スポーツ精神医学会会員、日本精神神経学会(精神保健に関する委員会委員)、健康経営アドバイザー、睡眠衛生コンサルタント、ストレングスファインダー認定コーチ、日本産業精神保健学会優秀賞、T-PEC優秀専門医。

産後うつとはどんな状態?「よくある不調」との違い

産後うつとはどんな状態?「よくある不調」との違い

編集部

産後うつとは、どのような状態を指すのでしょうか?

種市先生

産後うつは出産後に生じるうつ状態です。具体的には、強い悲しみ、不安、興味や喜びの低下、罪悪感、睡眠や食欲の乱れなどが続き、育児や日常生活に支障が出ている状態を指します。単なる気合いや性格の問題ではなく、出産後のホルモン変化、睡眠不足、心理的負荷、社会的孤立などが重なって起こる病気であり、治療可能です。

編集部

産後の疲れや気分の落ち込みとは何が違うのですか?

種市先生

出産後には多くの人が一時的に涙もろさや不安定さを経験します。ただしいわゆるマタニティブルーズ(出産後数日~2週間ほどで軽快する一時的な気分の落ち込み)に対し、産後うつでは抑うつ、不安、自己否定感、意欲低下がより強く、症状も長引き、育児や生活機能を明らかに損ないます。つまり「期間、重さ、生活への影響」の大きさが、一時的な疲れや気分の落ち込みとの違いといえます。

編集部

産後うつは、どのくらいの頻度で起こるのでしょうか?

種市先生

産後うつは決して珍しくありません。WHO(世界保健機関)は、出産後の女性の約13%が主としてうつを含む精神的な不調を経験すると示しています。また、NHS(英国国民保健サービス)も、10人に1人超の割合で発症している可能性があると案内しています。産後うつは特別な人だけの問題ではなく、誰にでも起こりうる周産期の健康課題であり、医療的支援につなぐべき状態です。

編集部

産後うつになりやすい人の特徴や、起こりやすい背景があれば教えてください。

種市先生

リスクを高める要因として、うつや不安症の既往歴、妊娠中の気分不調、強いストレス、睡眠不足、孤立、パートナー支援の乏しさ、経済的不安、育児不安、予期せぬ出産体験などが知られています。
生物学的には、出産後の急激なホルモン変動やストレス応答系の不安定さも関与します。弱さではなく、負荷が重なった結果と理解することが大切です。

「平気なふり」に気づいて。見逃されやすい“要注意のサイン”

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編集部

産後うつの初期には、どのような症状が表れやすいのでしょうか?

種市先生

初期には、涙もろい、些細なことで不安になる、眠りたいのに眠れない、食欲がない、疲れが抜けない、赤ちゃんがかわいいと思えず自分を責める、集中できない、といった変化が出やすくなります。身体疲労に見えても、実際には脳と心が悲鳴を上げていることがあります。早い段階で気づくほど、スムーズに回復する傾向があります。

編集部

本人が「大丈夫」と思っている場合でも、注意すべき症状やサインはありますか?

種市先生

「母親なのだから頑張らなければ」と無理を続ける人ほど、症状を過小評価しやすいです。注意すべきサインは、休んでも疲労が回復しない、笑えない、赤ちゃんの世話がつらい、強い自責感を抱く、家事や身支度ができない、人と関わりたくない、涙が止まらない、眠れないのに眠気が強い、などです。「平気なふり」は大丈夫な証拠ではありません。

編集部

放置してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか?

種市先生

放置すると、症状の慢性化、夫婦関係の悪化、育児機能の低下、母子の愛着形成への影響、家庭全体の疲弊につながり得ます。重症化すると希死念慮(死にたいという気持ち)や自殺の危険も生じます。WHOやNIMH(米国国立精神衛生研究所)によれば、母親だけでなく赤ちゃんの健康や発達にも影響しうることが示されています。助けを借りることこそが、自分と子どもを守る、母としての責任ある行動です。

配信元: Medical DOC

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