「レシピ配信なんて正気の沙汰ではない」
江口さんはかつてXにこう書いた。
「贅沢を言えば、私の書籍や配信を見た人がお菓子を作ってくれるととても嬉しい。成功するかもしれないし、うまくいかないかもしれない。でも、次また、材料を買いに行って、道具を買って、作るかもしれない。(中略)そういう、小さな幸せの種みたいなものが増えている感じが、やりがいになっている。そんな輪を、レシピ配信で創れるなら、私みたいなパティシエが居ても良いのかなって。普通は内緒にするだろうよ。当たり前ですよ、経営していればわかる。店やっているんだから、レシピ配信なんて、正気の沙汰ではない。ただ5年後10年後を考えたときに、今は未来の種を撒いているというか、その種が新しい形になっているんじゃないかって思って、続けているんですよね、だれか代わってくれるかな?」
その言葉について聞くと、江口さんはこう答えた。
「言っていることはブレてはいない気がしますね」
その言葉の通り、江口さんは今まさに行動に移し始めている。後継者づくりだ。
「15年先に10人後継者を作ろうと思ったら、今からやり始めるのがいいなと思ったんですよ。入社した瞬間に退社したときのことを考えるみたいなやり方って、今の時代にちょっと合っているなと思って」
その実践の場として、今年7月に新ブランドを立ち上げる。ショコラティエがロイヤルミルクティーのお菓子を作るブランドで、経営計画から事業計画まですべて共有しながら若手とともに動いている。
「未来の自分が今の自分を見たときに怒られないようにしておこう」
その言葉を胸に、今日も種を撒いている。
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第70回・第71回(3月27日・4月3日配信) 江口和明さん
シェフパティシエ・ショコラティエ
1984年東京都台東区生まれ。製菓専門学校卒業後、渋谷フランセ、高級チョコレート専門店などを経て、日本初上陸のベルギー老舗ショコラトリー「デルレイ」のシェフに就任。26歳でグローバルダイニングに入社し、経営を学ぶ。2013年、29歳でパティスリーカフェ「デリーモ」を創業。現在、東京を中心に7店舗を展開。2020年よりYouTubeチャンネルをスタートし、登録者数38万人を誇る。
HP:delimo.jp
Instagram:@delimo_patisserie
クックパッド株式会社 小竹 貴子
料理愛好家・料理の楽しみ共創室 部長
創業期から参画し、初代編集長としてメディアづくりに携わる。現在は、料理家や生産者といった食のつくり手の声を届ける活動を行っている。「日経ウーマンオブザイヤー2010」受賞。プロの技術や食材の背景にある物語を、暮らしに馴染む言葉で伝えることをライフワークに、生活者の目線で食の楽しさを探求している。
X: @takakodeli
Instagram: @takakodeli
この記事はクックパッドのポッドキャスト番組『ぼくらはみんな食べている』の配信内容を再編集した記事です。

