発表内容への受け止めは?
編集部
今回の発表についてどのように受け止めますか。
勝木先生
ボラニゴの登場は、IDH1またはIDH2遺伝子変異陽性の神経膠腫に対して新たな治療選択肢が加わったという点で大きな意義があります。 この疾患では、手術後に経過観察を行うのか、あるいは放射線療法や化学療法に進むのかという判断が重要でした。その間を埋める分子標的治療が登場したことは、臨床現場にとって非常に大きな意味を持つと思います。またINDIGO試験では無増悪生存期間の有意な延長が示されており、がんの進行を抑えながら、追加治療である放射線療法や化学療法の導入を遅らせる可能性が期待されます。神経膠腫は若年者を含め、長期的な認知機能やQOL(生活の質)を意識した治療選択が必要な疾患ですので、その意味でも本剤の登場は重要です。
一方で、実際に有効性が検証された患者層は、主として術後で、ただちに放射線療法や化学療法を必要としないグレード2の症例でした。したがって、全ての患者さんに一律に当てはまる薬というよりは、病理診断と腫瘍の臨床像を踏まえ適切な対象を見極めて使う薬と捉えるべきです。今後は、どの患者さんに最も恩恵が大きいのか、長期成績や実臨床データの蓄積が重要になると考えています。
編集部まとめ
神経膠腫に対し「ボラニゴ」が発売されました。分子異常に基づく治療選択肢が加わったことは、神経膠腫の診療において大きな前進です。 特に、INDIGO試験の対象となった術後でグレード2のIDH1/2遺伝子変異陽性神経膠腫では、追加治療の導入時期をどう考えるかが重要であり、本剤はその治療戦略に新しい可能性をもたらします。神経膠腫は稀な疾患ですが、頭痛やめまい、手足のしびれといった日常的に感じやすい症状が表れることもあります。「いつもと違う」と感じたら、些細なことでも見過ごさず、早めに脳神経を専門とする医療機関へ相談することが、自分自身や大切な人を守ることにつながります。気になる症状は日々の生活の中でしっかりと観察し、早期受診を心がけましょう。
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