「痩せていれば糖尿病のリスクは低い」というイメージは、もはや適切ではありません。実は、日本人は欧米人に比べ、痩せ体型でも糖尿病を発症しやすい特徴があります。そこで、痩せている人こそ知っておきたいリスクと対策を、所沢みやた内科クリニックの宮田由紀先生に解説してもらいました。
※2025年9月取材。

監修医師:
宮田 由紀(所沢みやた内科クリニック)
2003年浜松医科大学医学部医学科卒業。東京医科歯科大学附属病院(現・東京科学大学病院)内科、取手協同病院(現・JAとりで総合医療センター)内科、武蔵野赤十字病院内分泌代謝内科、草加市立病院内分泌代謝内科、イムス記念病院糖尿病内科、聖母病院内科を経て現職。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本抗加齢医学会抗加齢医学専門医。
痩せていても糖尿病のリスクがあるのはなぜ?
編集部
糖尿病といえば太っている人がかかるイメージですが、痩せていてもリスクはあるのでしょうか?
宮田先生
はい。痩せている人でも、糖尿病を発症することは珍しくありません。特に日本人は欧米人に比べ、インスリンを分泌する能力が低い傾向にあります。そのため、肥満でなくても血糖コントロールが崩れやすいのです。また、加齢による筋肉量の低下や過度なダイエット、不規則な生活習慣も、発症リスクを高める大きな要因となります。
編集部
体型と糖尿病リスクは、必ずしも比例しないのですね。
宮田先生
そのとおりです。特に、BMI(体格指数)が正常範囲内であっても内臓脂肪が多い「隠れ肥満」タイプや、筋肉が少なく代謝が落ちている人は、糖尿病のリスクが高くなります。見た目だけで安心せず、数値や生活習慣のチェックが重要です。
編集部
遺伝の影響も大きいのでしょうか?
宮田先生
はい。家族に2型糖尿病の人がいる場合、痩せていてもリスクは高まります。特に両親や兄弟姉妹に2型糖尿病の人がいる場合は注意が必要で、体重にかかわらず定期的に検診を受けることをおすすめします。
編集部
女性や若い世代にも起こり得るのでしょうか?
宮田先生
十分にあり得ます。過度な食事制限、ストレス、睡眠不足などが影響し、若い女性でも糖尿病を発症するケースが見られます。「痩せているから大丈夫」と過信せず、日頃から規則正しい生活を心がけることが大切です。
初期症状とは? どんな症状に注意すべき?
編集部
糖尿病の初期症状はありますか?
宮田先生
初期は、自覚症状が乏しいのが特徴です。しかし、喉の渇きや多尿、疲れやすさなどが見られる場合は注意を要します。痩せている人でもこうした症状が出ていれば、早めに受診してください。
編集部
ほかに注意すべき初期症状はありますか?
宮田先生
体重が減りやすい、手足がだるい、食後に強い眠気を感じるといった症状が表れやすい傾向にあります。特に心当たりがないのに急激に体重が減少する場合は、危険信号といえます。
編集部
目や神経に影響が出る場合もあるのでしょうか?
宮田先生
はい。進行すると網膜症による視力低下や、手足のしびれなどの神経症状、さらに腎機能の低下といった合併症につながります。痩せていても油断せず、早期の血糖コントロールが大切です。
編集部
健康診断でのチェックポイントを教えてください。
宮田先生
空腹時血糖やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値が重要です。痩せていても基準を超えていれば糖尿病予備軍や発症の可能性がありますので、数値を軽視せず医師に相談してください。

