事例2:笑って元カノ話をする30代男性
32歳の吉伸(仮名)さんは、飲み会でも職場でも、しばしば元カノの話をします。
「元カノは料理がうまかった」
「元カノは言わなくても察してくれる人だった」
本人は軽口のつもりでも、今の彼女からすると面白くありません。比べられているように感じられても仕方がありません。
吉伸さんは「もう忘れているし、好きとかじゃない」と言います。それでも、詳しく聞くと、元カノと別れた後、過去の生活パターンをグダグダ続けているのです。休日の過ごし方も、食生活も、お店選びも、旅行の趣味も、服の色も元カノ基準。彼は、元カノではなく、“元カノといた頃の自分の生活と好み”を手放せていなかったのです。
親しかった人との別れの後、人はしばしば、楽しかった習慣、場所、食べ物、歌などに引っ張られ、胸が詰まります。元恋人を思い出しているつもりが、実は“失った心地よい時間”を探している場合があります。吉伸さんは、まさにそのタイプでした。
「元カノが忘れられない吉伸さんと別れた方がいいのか…」
元カノのことを引きずり続ける吉伸さんにうんざりした現在の恋人が、筆者が運営する夫婦仲相談所に相談に訪れました。
吉伸さんの場合、必要なのは、元恋人の分析ではありません。
「今の自分は、何が好きで、誰といると心地よくて、どんな未来を望むのか」
そこを更新しない限り、恋愛だけが取り残されます。元恋人の話を繰り返す人は、愛が深いのではありません。過去の自分に固執し、現在の自分を更新することを怠っているだけなのです。
そのように吉伸さんの恋人にアドバイスしました。このことを彼女が上手に吉伸さんに伝えたかどうかは、連絡が来ていないため、まだ分かりません。
未練を放置すると次の恋愛がうまくいかない理由
未練を放置するデメリットは、心のエネルギーが過去に吸い取られることです。SNSを見過ぎて思い出フラッシュが続くと、集中力が落ち、マイナス思考に。もし新しい出会いがあっても「どうせまた傷つく」「前の人が俺の(私の)スペシャル」と、自己肯定感が下がるようになります。
さらに厄介なのは、未練が“美化”を生みやすいこと。終わった恋は、都合よく編集されます。「本当は寂しかった」「傷ついた」「価値観がずれていた」という現実が薄まり、「あの人こそ特別だった」という幻想だけが残ります。
目の前の誠実な相手が退屈に見え、恋愛の選球眼まで狂います。これはとてももったいないこと。
未練を完全にゼロにしなくてもいいです。長く愛した相手なら、ふと思い出す日があって当然ですが、大切なのは、「あのすてきな恋を体験できた」「でも、私はもう次の時間を生きている」と時系列で整理できることです。
恋が終わった後に問われるのは、愛した力ではなく、終わりを引き受ける力。そこを育てた人から、次の恋愛は、静かにうまくいき始めるのではないでしょうか。
