●「償い」とはなにか
──死刑に賛成でも、迷いがある?
「生きて償う」とよく言われますが、人を殺したあとに何をもって償いと言えるのか、と考えることがあります。
その言葉は、受刑者自身が心の安心を求めているからではないかとも感じます。亡くなった人に届くものではありません。
では、死ねば償いになるのか。そう考えても、やはり答えは出ない。結局、ずっと迷い続けています。
●冤罪と死刑は「別の問題」
──死刑の是非を議論すると、必ず「冤罪」が問題になります。
私は、死刑と冤罪は分けて考えるべきだと思います。
冤罪はどんな刑罰であっても取り返しがつきません。「生きていればやり直せる」という意見もありますが、何年も刑務所に入れられて失われた時間は決して戻りません。
その意味では、無期懲役でも死刑でも同じです。冤罪の問題を死刑だけに結びつけるのは間違っている気がします。
もちろん、冤罪は絶対に防がなければならない。証拠の全面開示など、制度として限りなくゼロに近づける努力が必要です。

過去の事件を調べていて感じたことですが、実際、死刑を求刑されながら無罪になった人は思った以上に多い。裁判所や弁護人が頑張って、もっと適切な審理がされていれば、防げたのではないかと思う事件もあります。
ただ、日本では死刑に関する情報が圧倒的に不足しています。それが議論の停滞につながっているのも事実です。

