大腸がんは日本でも患者数が多いがんの一つで、早期発見が大事だといわれており、初期には自覚症状がほとんどないケースが少なくありません。健康診断で行われる便潜血検査によって早期発見につながる人もいる一方、「便潜血検査を受けていても見つからないことがあるのでは?」と不安に感じる人もいるのではないでしょうか? 今回は、大腸がんの特徴や健康診断での検査方法、見逃される可能性について、横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院院長の鈴木先生に解説してもらいました。
※2026年3月取材。

監修医師:
鈴木 謙一(横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院)
埼玉医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院や昭和大学横浜市北部病院消化器センターなどで経験を積み、2024年に横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック横浜駅院を開院、院長となる。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本消化管学会認定胃腸科専門医、日本内科学会認定認定内科医、日本消化器内視鏡学会認定上部消化管内視鏡スクリーニング認定医・大腸内視鏡スクリーニング認定医、日本ヘリコバクター学会認定H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医。
大腸がんとは?
編集部
まずは、大腸がんについて教えてください。
鈴木先生
大腸がんは、大腸の粘膜に発生する悪性の腫瘍で、日本でも患者数が多い病気の一つです。多くの場合、大腸ポリープと呼ばれる良性の腫瘍が時間をかけて大きくなり、がんへ進行すると考えられています。また、陥凹型(かんおうがた/へこんだ形)ポリープのような最初から悪性のものもあります。
編集部
大腸がんができやすい場所はあるのでしょうか?
鈴木先生
大腸がんは大腸のさまざまな場所に発生します。中でも、直腸やS状結腸などに比較的できやすいといわれています。また、発生する場所によって症状の出方が異なる場合もあります。
編集部
大腸がんの初期症状について教えてください。
鈴木先生
早期の大腸がんは、自覚症状がないケースがほとんどで、症状が出ないまま進行することがあります。進行すると血便、便通の変化、腹痛、体重減少などが見られることがあります。ただし、血便や腹痛などはほかの病気でも起こるため、症状だけで判断することは難しい場合もあります。
編集部
なぜ、「大腸がんは早期発見が重要」と言われるのでしょうか?
鈴木先生
大半の大腸がんは、早期に見つかれば内視鏡などで治療できる可能性が高いからです。そのため、無症状の段階で、大腸カメラ(大腸内視鏡)検査によって見つけることが重要と考えられています。
健康診断の検便検査とは? どんな検査?
編集部
健康診断などで行われる便潜血検査とは、どのような検査なのでしょうか?
鈴木先生
便潜血検査は、便の中に含まれる微量の血液を調べる検査です。大腸がんやポリープからの出血がある場合、陽性になることがあります。比較的簡易に行えるため、大腸がん検診として広く普及しています。
編集部
便潜血検査で大腸がんが見つかることもあるのでしょうか?
鈴木先生
はい。便潜血検査をきっかけに、大腸がんやポリープが見つかるケースもあります。ただし、この検査はあくまで便に血液が混じっているかどうかを調べる検査のため、痔(じ)などの場合でも陽性となります。一方で、大腸のがんや腫瘍があっても出血していない場合は「陰性」「異常なし」と出ることもあります。便潜血検査は有用な検査ですが、全ての大腸がんやポリープを見つけられるわけではありません。
編集部
「便潜血検査が陰性でも安心」とは言い切れないわけですね。
鈴木先生
そうですね。便潜血検査は簡便にできるため、大腸がん検診として重要な役割があります。ただし、初期の大腸がんの場合出血が少なく、陰性だからといって大腸の病気が完全に否定できるわけではありません。陽性となって見つかったときには、すでにがんが進行している場合もあります。大腸がんの早期発見・早期治療を行うためには、定期的な大腸カメラ検査を受ける必要があります。

