爪の端が内側に丸まる巻き爪は、痛みや腫れを引き起こし、歩行にも支障をきたすことがある身近な爪のトラブルです。日常的な爪の切り方や靴の選び方が原因になることも多く、気付かないうちに進行しているケースも少なくありません。軽度であればセルフケアで対応できますが、症状が進むと医療機関での治療が必要です。この記事では、巻き爪のセルフケアから病院での治療まで、わかりやすく解説します。

監修医師:
江崎 聖美(医師)
山梨大学卒業。昭和大学藤が丘病院形成外科、群馬県立小児医療センター形成外科、聖マリア病院形成外科、山梨県立中央病院形成外科などで経歴を積む。現在は昭和大学病院形成外科に勤務。日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会実施医師。
巻き爪|セルフケアの効果と問題点

巻き爪を自分で治すことはできますか?
巻き爪は湾曲爪ともいい、爪の端が内側に巻いている爪の変形です。巻き爪の症状が軽度であり、痛みが少ない初期段階であれば、正しい爪切りや靴選び、テーピング、矯正器具などのセルフケアによって症状を緩和させることが可能です。しかし、セルフケアは一時的な痛みの軽減や症状の進行を防ぐための応急処置であることが多く、セルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、爪の周囲が赤く腫れて化膿している場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
コットンパッキングの方法を教えてください
コットンパッキングは、爪の端と皮膚の間に小さなコットンを挟み込むことで、爪が皮膚に食い込むのを防ぐ保護法です。まず足を洗って清潔にし、小さく丸めた清潔なコットンを、爪の角と皮膚の隙間に優しく押し込みます。この際、無理に押し込むと痛みが強くなったり、皮膚を傷つけたりする可能性があるため慎重に行います。
テーピングや巻き爪矯正器具は効果がありますか?
テーピングや巻き爪矯正器具は、巻き爪に対して一定の効果が期待できます。テーピングは、伸縮性のあるテープを用いて、爪に食い込んでいる皮膚を外側に引っ張るように固定する方法です。これにより、爪と皮膚の間に隙間ができ、痛みが軽減されます。巻き爪の矯正器具には、ワイヤーやクリップ、プレートなどさまざまな種類があります。これらは爪の表面に装着し、爪を平らな状態に引き上げる力を加えることで弯曲を改善します。市販の矯正器具もありますが、重症例や炎症がある場合は、自己判断での市販の矯正器具の使用は避けてください。
巻き爪のセルフケアで生じやすい問題を教えてください
セルフケアを行ううえで注意すべき問題は、不適切な処置による症状の悪化や感染症のリスクです。爪を短く切りすぎる深爪は爪の両端が皮膚に食い込みやすく、巻き爪が進行することがあります。また、巻き爪の痛みを和らげようとして爪の角を切ると、一時的に痛みが引くものの、爪が伸びてきた際にさらに深く皮膚に食い込むことがあります。また、不衛生な状態でセルフケアを行うと、炎症を引き起こす可能性があります。市販の矯正器具を使用する際も、爪がもろくなっている場合や白癬(水虫)に感染している場合は、爪が割れたり症状が悪化したりする可能性があるため、自己判断での使用には注意が必要です。
巻き爪|治療が必要なケースとは

巻き爪を治療せずに放置するとどうなりますか?
軽度の巻き爪であれば自然経過で悪化しないこともありますが、巻き爪を放置して悪化すると、爪がさらに内側に巻き込み、皮膚への圧迫が強くなります。その結果、爪の周囲の皮膚が炎症を起こす爪囲炎や、爪が皮膚に深く食い込む陥入爪へと進行する可能性があります。これらの状態になると、炎症により赤く腫れ、痛みが強くなります。さらに、痛みをかばうために不自然な歩き方になり、足のほかの部分にタコやウオノメができたり、膝や腰に負担がかかって痛みを引き起こしたりする可能性もあります。高齢の方の場合は、足の痛みから歩行量が減少し、運動不足や転倒のリスクが高まることも懸念されます。
医療機関以外で行う巻き爪ケアでも問題ありませんか?
ネイルサロンやフットケアサロンなど、医療機関以外でも巻き爪のケアを提供している施設があります。これらの施設では、爪や皮膚に異常がない場合に、爪の形を整え、爪を保護する施術などを受けることができます。サロンでのケアは医療行為ではないため、出血や炎症が起きている場合や、痛みが強い場合には対応できません。また、基礎疾患として糖尿病を患っている方は、足の血流や神経の感覚が低下していることが多く、小さな傷から重篤な感染症を引き起こすリスクがあるため、必ず医療機関での治療を受けるべきです。また、足の血流が悪い場合も爪の病気から壊死が進行する場合もあるため、不安がある場合は医療機関を先に受診してください。
病院で治療した方がよいのはどのような巻き爪ですか?
以下のような症状がある場合は、皮膚科や形成外科などの医療機関を受診するべきです。爪の弯曲が強く、爪が厚くなって爪切りが難しくなる、靴や靴下を履くのが難しくなるなど生活に支障が出ている
歩行時や運動時に、爪の先端部分が圧迫されて、痛みを生じたり爪の下に血腫を生じたりしている
爪が周囲の皮膚に食い込んで強い痛みや腫れがあり、歩行が困難になっている
セルフケアを続けても症状が改善しない、または悪化している
特に、糖尿病や末梢動脈疾患などがある方は、足の小さな傷から重篤な感染症や潰瘍に進行するリスクがあるため、早めに医療機関を受診してください。

