「公正証書」を作成し、義母たちに強制執行の重圧をかける。美緒夫婦は、父への返済を始め、義実家とは完全に絶縁。夜の静寂を取り戻した美緒は、夫と共におだやかな日常を歩み出す。
義母もついに屈服
山城弁護士の手腕はあざやかだった。
義妹と義母には、「合計20万5千円(消費者金融の元本+損害金+結婚式の借金)を分割で支払う」という公正証書を作成させた。
「もし、支払いが1回でもおくれれば…即座に強制執行(給与差し押さえ)を行う」という、きびしい条項付きだ。
「まさか、あのお義母さんが判を押すなんて…」
私は公正証書の写しを見て、深く息を吐きました。
父に感謝を忘れずに…
義母たちは最後まで、「身内なのにつめたい」と文句を言っていたそうだ。しかし、弁護士から「これ以上さわぐなら、刑事告訴も視野に入れる」と説得され、ようやくふるえながら署名したという。
「お父さん…本当にありがとうございました。これが、今月の返済分です」
私たちは生活費を切り詰め、まずは、第1回目の返済として、3万円を父にわたした。父はそれを「たしかに」とうけとり、ほほえんでくれた。
「修平くん、高い勉強代になったな。でも、これでよかったんだ。守るべきものをまちがえちゃいけない」
「はい…本当にお義父さんには、感謝してもしきれません」
そう言うと、修平は私の方に向き直った。
「美緒…今まで、苦労させてごめん。これからは2人で、ちゃんと前を向いて歩いていこう」
修平の顔に、もうまよいはなかった。

