●父親が法廷で語った戸惑い
弁護側は、被告人が書いた反省文を情状証拠として提出した。
反省文には「利益を追求するあまりに、おこなってしまい反省している」などと記されていたという。
情状証人として出廷した父親は、事件当時は遠方に住んでいたものの、保釈後は被告人を実家で生活させ、定職に就かせるなどして見守っていく考えを示した。
別居していたとは言え、目が届かなかったことについて、父親は反省を口にしつつ、率直な戸惑いもにじませた。
「普通に生活する者にとって、被害額があまりにも多額で。こんな話が、若者の中で成り立つ話なのか、おかしく思わないのか理解に苦しむ」
●「ぼったくりであって詐欺ではないと思っていた」
被告人によると、同種のぼったくりに加担するようになって約2年半が経っていた。関与した件数は「覚えていないほど」だという。
組織の全体像ははっきりしなかったものの、被告人は複数のグループを渡り歩きながら活動し、雑務担当から実行役へと立場を変えていった。犯行にはマニュアルも用意されていたという。
大学を中退した後も都内にとどまり、ギャンブルや浪費を重ねるうちに実家との連絡も疎遠になり、悪い人間関係から抜け出せなくなっていったと語った。
法廷では次のようなやり取りもあった。
弁護人:特殊詐欺って知ってますか。
被告人:電話で警察を名乗ったりして、高齢者などからお金を騙し取る行為です。
弁護人:今回おこなったことは特殊詐欺だとは思いますか。
被告人:対面でおこなっているし、高齢者相手ではないので違うと思う。
被告人は逮捕当初、自身の行為は“ぼったくり”であり、詐欺ではないと否認していたという。組織の上位者からも、そのように教えられたと話した。
匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」に関与した人物の供述からは、犯罪への認識の薄さがたびたび浮かび上がる。
なお、被告人は本件で詐取した金額の15%を報酬として受け取っていた。一方、被害者への弁償は、共犯者が全額おこなっており、被告人自身は弁償していない。

